来週（2021年１月４～８日）の外国為替市場で円相場は１ドル＝103円台を中心に横ばい圏で推移しそうだ。市場関係者の関心は、年明け５日に米ジョージア州で実施される米議会上院選の決選投票に集まっている。市場では、仮に残る２議席とも民主党が押さえれば「サプライズ（驚き）となって米長期金利が上昇し、円売り・ドル買いが出そうだ」（野村証券の後藤祐二朗氏）との声があった。

新型コロナウイルスのワクチンが普及するとの期待などから投資家の姿勢はリスク運用に傾いている。流動性が高く、リスク回避局面で買われやすいドルには売り圧力が強い状況が続きそうで、これが円安・ドル高の動きに一定の歯止めをかけるだろう。

１月８日には米国で20年12月の雇用統計が発表される。新型コロナの感染拡大を踏まえると、市場では雇用者数の伸び悩みが改めて意識される結果になるとの予想が多い。ただ、米政府による追加の経済対策が米景気を下支えするとの期待もあるため「（米雇用統計の）相場への反応は限られるだろう」（野村証券の後藤氏）との声もきかれた。

同期間の日経平均株価は弱含む展開か。市場では２万7000円を挟む水準での展開を見込む声が多い。29日に日経平均は約30年ぶりの高値を付けた。このところの急ピッチな相場上昇を受けて利益確定の売りが広がりやすいだろう。今後国内外で新型コロナワクチンなどを巡る好材料が出てきても「景気の将来的な回復への期待は株価に相当織り込まれており、一段と買い上がる材料にはなりにくい」（みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリスト）との声があった。

米ジョージア州の米上院選決選投票が実施されるのは１月５日。結果判明までは様子見の空気が強まりそうだ。同８日発表の20年12月の米雇用統計については、新型コロナの感染が再び深刻化してきた時期とあって改善の鈍化を見込む声が優勢だ。「足元の景気状況を確認し、現実に立ち返るきっかけとなる可能性がある」（国内証券）との見方があった。

【主な予定】

◇31日（木）

・2020年12月の中国製造業購買担当者景気指数（ＰＭＩ、10：00）
　・20年12月の中国非製造業ＰＭＩ（10：00）
　・東京、韓国、フィリピン、タイ、インドネシア、ドイツが休場
　・香港・シンガポール株式市場が半日取引
　・米債券市場は短縮取引

◇１日（金）

・東京、中国（上海・深セン）、香港、韓国、台湾、シンガポール、フィリピン、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド、欧州、米国が休場

◇２日（土）

◇３日（日）

◇４日（月）

・大発会
　・ＱＵＩＣＫコンセンサスＤＩ（12月末時点、８：30）
　・証券３社による年頭オンライン記者会見（12：35）
　・ニュージーランドが休場
　・20年12月の財新中国製造業ＰＭＩ（10：45）
　・20年11月の米建設支出（５日０：00）

◇５日（火）

・20年12月のマネタリーベース（日銀、８：50）
　・３カ月物国庫短期証券の入札（財務省、10：20）
　・20年12月の新車・軽自動車販売台数（自販連・全軽自協、14：00）
　・20年12月の財政資金対民間収支（財務省、15：00）
　・20年12月の国内ユニクロ既存店売上高（15：00）
　・20年12月の独失業率
　・20年12月の米サプライマネジメント協会（ＩＳＭ）製造業景況感指数（６日０：00）
　・米ジョージア州で連邦議会上院選の決選投票

◇６日（水）

・21年１月の日銀当座預金増減要因見込み（日銀、８：50）
　・10年物利付国債の入札（財務省、10：30）
　・20年12月の消費動向調査（内閣府、14：00）
　・20年12月の財新中国非製造業ＰＭＩ（10：45）
　・20年12月の独消費者物価指数（ＣＰＩ）速報値
　・20年12月のＡＤＰ全米雇用リポート（22：15）
　・20年11月の米製造業受注（６日０：00）
　・米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）議事要旨（20年12月15～16日開催分、７日４：00）

◇７日（木）

・20年11月の毎月勤労統計速報値（厚労省、８：30）
　・対外・対内証券売買契約（週間、財務省、８：50）
　・６カ月物国庫短期証券の入札（財務省、10：20）
　・20年11月の豪住宅建設許可件数（９：30）
　・20年11月の豪貿易収支（９：30）
　・20年11月のユーロ圏小売売上高（19：00）
　・20年12月のユーロ圏消費者物価指数（ＨＩＣＰ、速報値、19：00）
　・20年11月の米貿易収支（22：30）
　・20年12月の米ＩＳＭ非製造業景況感指数（８日０：00）

◇８日（金）

・閣議
　・20年11月の家計調査（総務省、８：30）
　・20年12月上中旬の貿易統計（財務省、８：50）
　・３カ月物国庫短期証券の入札（財務省、10：20）
　・30年物利付国債の入札（財務省、10：30）
　・20年12月の輸入車販売（日本自動車輸入組合、10：30）
　・20年12月の車名別新車・軽自動車販売（自販連・全軽自協、11：00）
　・20年11月の景気動向指数速報値（内閣府、14：00）
　・株価指数オプション１月物の特別清算指数（ＳＱ）算出
　・20年３～11月期決算＝ローソン、ウエルシア、オンワード
　・20年９～11月期決算＝良品計画
　・20年11月のユーロ圏失業率（19：00）
　・20年12月の米雇用統計（22：30）
　・20年11月の米卸売在庫・売上高（９日０：00）
　・20年11の米消費者信用残高（９日５：00）

（注）時間は日本時間

〔日経ＱＵＩＣＫニュース（ＮＱＮ）〕