【日経QUICKニュース(NQN) 内山佑輔】2020年の株式市場で日経平均株価は年間で3787円55銭(16.0%)上昇した。前半は新型コロナウイルスの感染拡大を警戒して売りが膨らむ場面もあったが、後半はワクチンの開発・普及期待などを背景に不安心理が後退し、年末にかけて上値追いが目立つ展開となった。
ただ日経平均採用225銘柄のなかで上昇銘柄は77銘柄と全体の3割強にとどまり、一部の値がさ株などがけん引した株高であることを印象づけた。上昇率の首位は医薬品情報サイトのエムスリー(2413)で、株価は年間で2.9倍になった。在宅勤務や外出自粛が広がりを見せるなか、コロナが社会のデジタル化を加速するとの見方から、IT(情報技術)関連やネット関連銘柄が人気化した。
ハイテク株に多く出資するソフトバンクグループ(SBG、9984)は69%高。東京エレクトロン(8035)や信越化学工業(4063)など半導体関連銘柄も大幅に上げた。
一方、下落率の上位にはコロナの感染防止に伴う対策が収益にマイナスに働く企業が目立った。訪日外国人の「蒸発」の影響が大きかったJ・フロントリテイリング(3086)をはじめとした百貨店、経済活動の制限に伴う原油需要の落ち込みが懸念された国際石油開発帝石(1605)などエネルギー関連銘柄が低調だった。リコー(7752)やコニカミノルタ(4902)は在宅勤務でオフィス関連製品の需要低迷の懸念が強まった。
<日経平均採用銘柄の上昇・下落率ランキング(2020年)> |
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●上昇率の上位10銘柄 | ●下落率の上位10銘柄 | ||
エムスリー(2413) | 194.8 | 三井E&S(7003) | 60.7 |
ネクソン(3659) | 119.3 | 三菱自(7211) | 52.6 |
サイバー(4751) | 86.4 | ニコン(7731) | 51.6 |
SBG(9984) | 69.4 | 国際石開帝石(1605) | 51.1 |
中外薬(4519) | 63.8 | シチズン(7762) | 50.8 |
東エレク(8035) | 60.5 | Jフロント(3086) | 46.7 |
イオン(8267) | 50.1 | アルプスアル(6770) | 45.5 |
信越化(4063) | 49.6 | 日揮HD(1963) | 45.1 |
日東電(6988) | 49.4 | コニカミノル(4902) | 44.7 |
ダイキン(6367) | 48.4 | リコー(7752) | 43.2 |
(注)採用銘柄は30日時点。上昇・下落率の単位は%。 |