独ESG評価会社アラベスクS-RayによるESGスコアの2020年12月31日時点の日本企業ランキングは、11月30日と比べ上位6位までの順位に変動がなかった。上位10社では11月30日時点の13位から9位に順位を上げた浜松ホトニクス(6965)が目立った。同社は19年12月31日時点では48位で、1年前に比べESGスコアと株価がそろって上昇した。
■首位オムロン、2位東エレク、3位スギHDは2020年11月末と同順位
2020年12月31日時点の首位はオムロン(6645)、2位は東京エレクトロン(8035)、3位はスギホールディングス(7649)で、11月30日と同じだった。昨年12月31日時点の海外企業も含めた世界ランキングでは、オムロンが9位、東エレクは10位で、2社がトップ10に入った。
日本企業569社の分布状況を10点刻みで見ると、50点以上60点未満が264社と最も多かった。全社平均は52.81点で、11月30日の53.30点(558社平均)を下回った。
アラベスクS-Rayは70カ国・地域以上の7000社を超す企業の公開情報と世界の情報元からESG評価に必要なデータを自動収集し、人工知能(AI)による独自の手法でESGスコアを毎日更新している。ESGスコアは100点満点で、E(環境)、S(社会)、G(企業統治)の3つのサブスコアから構成され、ESG課題の株価へのインパクトを考慮して、業種ごとに評価項目のウエートを変えているのが特徴だ。
■ホトニクスが2019年末の48位から躍進、株価も大幅に上昇
ホトニクスの2020年12月31日のESGスコアは68.70点(日本企業ランキング9位)と、19年12月31日の63.29点(同48位)から上昇した。サブスコアを見ると、環境が73.17点から75.31点に、社会は55.79点から67.81点に、企業統治は61.24点から65.07点に、3分野それぞれで1年前より点数を伸ばした。
ホトニクスのホームページを見ると、会社情報の「CSR」のページに統合報告書より詳細な内容をまとめ、CSR基本方針や環境への取り組みを紹介している。事業活動におけるESG関連データの一覧表も開示している。また2020年3月には地球温暖化対策に係る長期ビジョンを策定し、2051年9月期の目標を示した。こうした様々な取り組みが評価されているとみられる。
ホトニクスの株価は2020年の最終営業日だった12月30日終値が5900円と1年前に比べ31.3%上昇した。一方、20年12月末のESGスコア上位10社の年間騰落率は高安まちまちで、ESGに関する高評価が必ずしも株高につながるとは限らない。株価は企業の収益力や投資指標の評価など様々な要因が影響するためだ。ESGスコアはあくまでも企業評価の1つである点に注意を払う必要がある。(QUICKリサーチ本部 遠藤大義)