※SHIFTの決算説明会のテキストマイニング
【QUICK Market Eyes 阿部 哲太郎】ソフトウエアのテスト・品質保証サービスを提供するSHIFT(3697)が1月7日にオンラインで開いた2020年9~11月連結決算の説明会では、「エンジニア単価」、「開拓」、柔軟性のある独自の開発手法である「DAAE(Design=デザイン、Agility=迅速性、Assembly=組み合わせ、Economic Quality=経済品質)=ダーエ」などに話題が集中していた。説明会の内容をテキストマイニングし、分析した。
20年9月~11月期は、売上高が前年同期比54 %増の94億円と大幅に増えた。新型コロナウイルス禍による稼働率低下などがあったものの、売上高の通期予想に対する進捗率は21%と過去の実績並みだった。21年3月以降に向けて積極採用や教育に先行投資したため営業利益は5億4700万円と同8%減ったが、ほぼ期初の計画どおりだった。小林元也取締役は「順調な滑り出し」と評価した。
システムエンジニア(SE)が1カ月働く作業量である人月あたりの単価「エンジニア単価」は、単体ベースでは右肩上がりの傾向が続いていた。コロナ禍で20年3~8月期は落ち込んだものの、9~11月期は73万8000円と過去最高になった。連結ベースでは採用加速に加え、新たに3社が加わったこともあってエンジニア数が5000人を突破するなど規模の拡大も続いている。
新規顧客の「開拓」や顧客の深耕にも取り組んだ。営業力に定評のある元キーエンス社長の佐々木道夫副社長が陣頭指揮をとり、営業改革を進めている。営業活動の可視化を進め、分析することで売上高1兆円という目標に向けて戦略を進めている。
売上高に寄与する可能性の高い、売り上げ規模3000万~5000万円の顧客層を成功率の高い「スイートスポット」と位置づけ、営業を強化する。一方、売り上げ規模3億~5億円の顧客には特別なチームを配置して売り上げの拡大を目指すといった費用対効果の最大化に取り組んだ。新規顧客の開拓が進み、売上規模1億円以上の顧客の比率が上昇した。
独自の開発手法の「DAAE」による効果も出ている。これまでのシステム開発では、まず要件定義書をもとに詳細な設計をするといった手法が主流で、開発が進まないと全体像がわからない仕組みだった。DAAEの導入で顧客からは「要件を口頭で伝えたものをすぐに試作品を作成してもらい、実際にシステムを触ってさらに要件を膨らませていくことができた」「要件とのずれが少ないシステム開発ができ、大変満足している」との声があったという。
DAAEは設計から開発・運用までの全行程を手掛けることができる「フルスタックエンジニア」の採用でもプラス効果をもたらしている。試作品を作りながら実際の使われ方を議論しながら開発できるため、エンジニアとしての能力を最大化できるとして開発手法に共感した技能の高いエンジニアの入社が増えているという。