【日経QUICKニュース(NQN) 大谷篤】日興アセットマネジメントが運用する「グローバル・プロスペクティブ・ファンド」(通称イノベーティブ・フューチャー)の純資産残高が15日時点で9761億円となり、国内公募の追加型株式投資信託(ETFを除く)で初めて首位となった。ピクテ投信投資顧問の「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」(通称グロイン)は9606億円となり、1年9カ月にわたって維持してきた首位を明け渡した。
イノベーティブ・フューチャーは2019年6月28日の設定。順調な資金の流入と投資先企業の株高を追い風に、純資産は1年あまりで5000億円を超え、今年に入り9000億円台に乗せた。15日時点の基準価額は2万8371円と、設定来で2.8倍のパフォーマンスだ。
■組み入れ上位に違い
「破壊的イノベーション」を起こしそうな企業への投資で知られる米アーク・インベストメント・マネジメントとタッグを組んだアクティブ型の投信で、20年11月末時点で49銘柄を組み入れている。組み入れ比率の上位には電気自動車(EV)のテスラ、遺伝子検査サービスのインビテ、動画配信機器のロクが並ぶ。
一方、グロインは電力やガス、通信など配当が高めの世界の公益企業の株式に投資する。05年2月に設定された毎月分配型を代表する投信だ。直近では19年4月下旬に、純資産の規模でフィデリティ投信の「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」を追い抜き、首位を走っていた。
投信の規模は、市場のはやりすたりや販売会社の営業力などに左右されるが、足元では海外の成長株で運用する投信が資金を集めている。
■安定から成長
イノベーティブ・フューチャー、グロインに続く純資産残高の3位は、アセットマネジメントOneの「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」、通称「未来の世界(ESG)」。4位にはアライアンス・バーンスタインの「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」のDコースが入った。これらの成長株投信はグロインと異なり、あらかじめ償還日が定められている。
振り返ると、高格付け国債で運用する「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」の規模が、日本株に投資する「ノムラ日本株戦略ファンド」(通称Big Project―N)を超えたのが02年1月。以来、経済の低成長と低金利を背景に、国内の投信は高格付け債や低格付けのハイイールド債、海外の不動産投資信託(REIT)、公益企業株といった投資対象の違いはあるが、安定したインカム(利子・配当)重視が主流となった。
成長の果実を狙った海外株運用の投信の隆盛は、その変化を映している。