【(NQN香港=川上宗馬、林千夏】19日の香港株式市場でハンセン指数は一時3.4%高まで上げた。終値も昨年来高値を上回る2万9642となった。中国景気の回復期待や証券相互取引を通じた中国本土からの資金流入観測を背景に、投資家心理が一段と強気に傾いた。今後の展望について現地の市場関係者に聞いた。
■香港株の割安感を改めて意識 ハンセン指数、3万は通過点にすぎず
三井住友DSアセットマネジメント香港の永井尚人・最高投資責任者(CIO)
香港株の上昇が続いている。18日に発表された中国の2020年10~12月期の実質国内総生産(GDP)は市場予想を上回る結果となったほか、米国では追加の経済対策に関する観測が伝わった。個別セクターでは、半導体不足が深刻になるほどの自動車需要の回復が報じられている。アジアの株式市場全体で、自動車やテクノロジー関連の景気敏感株に投資資金が向かっており、香港市場にもこうした流れが波及した。
相互取引を通じた中国本土資金の流入加速も一因だ。1月以降、本土投資家による香港株売買(南行き)は過去にない異例の買い越しが続いている。18日には過去最高の買越額を更新した。トランプ米政権時代に科された対中企業への制裁などを巡る不透明感が、1月20日に予定されている政権交代を控え、ある程度払拭されてきた。香港と中国本土に重複上場する中国本土系銘柄の価格差が改めて意識され、割安との見方から押し目買いにつながっているのだろう。
ハンセン指数は構成銘柄に占める金融や不動産株の比率が高く、ハイテク株高に沸いて20年に過去最高値を更新した韓国株や台湾株に比べると出遅れも目立っていた。ハンセン指数は2万9000台に乗せているが、心理的節目の3万は通過点にすぎないとみている。
■ハンセン指数、短期の上値メド3万 IPOブームで資金流入続く
DBS銀行(香港)の王良享・財資市場部執行董事長
香港株高の最大の要因は値ごろ感だ。反政府デモなどの政治的な不安定さを背景に、19~20年の香港株は米国などの他市場に比べて出遅れていた。今年に入って(18日までに6%近くの)大幅高となっているにもかかわらず、PER(株価収益率)で見ると米S&P500種株価指数より低い水準だ。バイデン米次期政権による米企業への法人増税観測なども、米国からアジアへの資金移動を促している。中国本土に上場していない騰訊控股(テンセント)や香港取引所などに中国マネーが流入していることも一因だ。
香港への資金流入は今後も続くとみる。ネット関連やバイオテクノロジーといったニューエコノミー銘柄の上場や、米上場の中国企業による香港市場への「回帰」上場などが今年も多くなりそうだ。20年の香港市場の調達額は約4000億香港ドルだったが、21年はさらに40%増加するとの見方もある。活発な新規株式公開(IPO)市場が香港に資金が集まる原動力になる。
短期的な過熱感が意識され、3月までのハンセン指数は3万が上値のメドになるとみている。ただ中国企業の1~3月期決算が良好な結果となれば、4月以降の香港株はさらに上向く。中国人民元建てA株は足元で上昇の勢いが鈍くなっている。バイデン政権が対中追加関税やハイテク製品の輸出制限を緩和すれば、輸出主導で中国経済の回復が加速し、A株の上昇に拍車がかかるだろう。香港株にも恩恵がありそうだ。