※マネーフォワードの決算説明会のテキストマイニング
【QUICK Market Eyes 阿部 哲太郎】家計簿アプリケーションやクラウド会計ソフトなどを手掛けるマネーフォワード(3994、マザーズ)が1月14日にオンラインで開いた2020年11月期連結決算説明会では、課金顧客あたりの平均売上高である「ARPA」、「成長率」、「中堅企業」などに話題が集中していた。説明会の内容をテキストマイニングし、分析した。
20年11月期の売上高は、前の期に比べ58%増の113億円と高成長が継続した。クラウド化の進展で法人顧客が順調に増えるなどビジネス向けが全体をけん引した。特に20年9~11月期の売上高は、前年同期比51%増と過去最高を更新し、ビジネス向け売上高は同78%増と大きな伸びとなった。20年11月期の最終損益は24億円の赤字(前の期は25億円の赤字)だった。
サブスクリプション型(月額課金)のサービス企業で重視されるARPAは、20年11月期末時点で全体で前四半期末に比べ3%増の4万3864円となった。クラウド型の入金消込(入金明細の確認)サービスで国内シェア9割のR&AC社がグループ入りし、20年6~8月期に前四半期末から8%伸びた法人向けは、20年9~11月期も3%増の7万7189円と成長を維持した。一方、個人事業主向けは、同1%減の1万1821円だった。割引のある年額契約が増加した。辻庸介代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)は、「個人事業主のアップセル(単価上昇)はなかなか難しく、アップセルが可能な法人向けに引き続き注力したい」と述べた。
ビジネス向けでは、主力サービスの「マネーフォワードクラウド」が、東証マザーズなどの上場企業や上場準備段階の企業などに導入が進んでいる。従来は中小企業向けが強みだったが、テレビCMを含む大型マーケティングの効果でオンラインでの資料請求件数が実施前の2.7倍に増加した。
アナリストやマスコミは成長率に高い関心を寄せた。21年11月期は売上高が前期比30%~39%増を見込む。中でも主力のビジネス向けは37%以上の伸び率を目標とする。金坂直哉取締役最高財務責任者(CFO)は、R&AC社や傘下入りした法人向けSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の比較・検索サイト、スマートキャンプ社の寄与を見込み「高い成長率をその領域で見込んでいる」とし、「先日発表したマネーフォワードクラウドERP(統合基幹業務システム)も中堅企業向けの導入も見込める」として、成長に自信をのぞかせた。