※エクスモーションの決算説明会のテキストマイニング
【QUICK Market Eyes 阿部 哲太郎】組み込みソフトの開発を支援するコンサルティング会社、エクスモーション(4394、マザーズ)が1月19日に都内で開いた2020年11月単独決算の説明会では、「オンライン」、エンジニア向けナレッジ(知識)提供の新サービス「ユーリカボックス」、「自動車」などに話題が集中していた。説明会の内容をテキストマイニングし、分析した。
渡辺博之社長は新型コロナウイルス禍の影響を受け「期初の事業計画に対しては未達という結果に終わった」と20年11月期を振り返った。売上高は前の期比10%減の8億7700万円だった。20年3~5月期に大口顧客向けのプロジェクトがコロナ禍でいったん中断したのが響いた。事業拡大に向けた増員などで販管費が8%増えたこともあり、営業利益は同52%減の8900万円と大きく落ち込んだ。
もっとも、渡辺社長は20年6月期以降は復調に向かっていると強調した。オンラインでトレーニングができる環境を構築したことにより、テレワークによる教育需要を取り込んで「20年度末の受注残もほぼ前年並みまで回復してきている」という。売上高の約9割を占める上位10社との契約はコロナ禍においても継続した。さらに新規取引や取引再開で約7社との取り引きが増えた。
21年11月期は、売上高が前期比19%増の10億4200万円、営業利益が同60%増の1億4200万円を見込む。渡辺社長は事業を取り巻く環境としてコロナ禍でDX(デジタル・トランスフォーメーション)が加速し、「製造業でソフトウエアに収益の源泉が移行している」といいソフトの内製化が前倒しで進むと指摘。若年層のエンジニアの育成やイノベーション人材の不足を補う付加価値を高めるための支援の需要が増すとの見方を示した。
新たな付加価値の提供の施策として「ユーリカボックス」によるナレッジの外販を挙げた。コンサルタントのノウハウを動画などで公開しており、顧客はウェブ上でソフト開発のナレッジを参照出来る。サブスクリプション(継続課金)サービスでコンサルタントが蓄積した知識のデジタル化とストック化を目指す。
アナリストやマスコミの質問では自動車業界の動向について関心が集まった。渡辺社長は日本の携帯電話が海外のスマートフォンにとって代わられたように、自動車業界が大きく変わってしまうかもしれないと指摘した。ただ、トヨタ自動車が取り組んでいるスマートシティ構想「ウーブン・シティ」のような「車はあくまでも1つのパーツであって、モビリティ全体でサービスをしていくような方向に車メーカーがかじを切っていけば、財力や投資能力で対抗できると思う」との認識を示した。さらにコロナ禍を機に医療やFA(工場自動化)の領域の顧客が増えた現状を挙げて、中小企業のDX化なども含めソフト開発支援の市場拡大の余地は大きいと予測した。