【日経QUICKニュース(NQN) 宮尾克弥】2日の東京株式市場で任天堂株が続伸し、前日比2.7%高の6万4350円まで買われた。前日に2021年3月期の連結純利益が前期比55%増の4000億円になりそうだと発表。主力の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の今期の販売台数見通しも2400万台から2650万台に引き上げた。決算内容を担当アナリストはどうみているのか、リポートをまとめた。
■すべての指標が野村予想を上回る
山村淳子・野村証券リサーチアナリスト
投資判断「バイ」、目標株価8万1000円
営業利益、ソフト販売、復刻版タイトルの販売本数などが野村証券予想を上回った。特定タイトルのヒットではなく、IP(知的財産)シリーズ全体の多様な売上高によりけん引されると予想している。復刻版タイトルの活用やエクスパンションパスの売上高拡大も、その一例と言える。10~12月期の決算結果だけで市場のスイッチのピークアウト懸念を払拭するのは難しいかもしれないが、現時点では予想を上回るスピードとインパクトで成長ストーリーが実現されつつある。(通期予想を)上方修正したが、足元の需要の強さを考えると保守的な印象だ。
■決算内容は文句なし
鈴木崇生・大和証券シニアアナリスト
投資判断「1(買い)」、目標株価6万5000円
スイッチユーザーのアクティビティの高さが垣間見え、決算内容は文句なしだ。修正された21年3月期の会社計画をなお上回る可能性がある。例年、4~12月期決算発表後に株価は下落する傾向が見られるが今年は様相が異なるだろう。ただ、22年3月期のタイトルラインアップが不足している。高い収益の伸びが続く確度が高まるまで新たな投資が積極的に行われる決算内容とは考えにくく、会社側からカタリストが示されるまで株価は直近の高値付近を維持する展開になる。
■利益計画の増額もコンセンサス並み、株価に織り込み済み
村上宏俊・三菱UFJモルガン・スタンレーシニアアナリスト
投資判断「アンダーウエート」、目標株価4万5000円
通期予想を上方修正したが株価に織り込み済み。決算のインプリケーションはネガティブだ。理由は(1)通期の営業利益計画は上方修正だが、IFISコンセンサスとほぼ同水準にとどまる(2)巣ごもりゲーム特需の反動減懸念(3)ソニー(6758)の新型ゲーム機「プレイステーション(PS)5」との販売競争激化(4)子供中心に新ジャンルゲームの世界的な人気による影響(パソコン・タブレット向け、基本無料、ユーザー作成)だ。