※HOYAの決算説明会のテキストマイニング
【QUICK Market Eyes 阿部 哲太郎】HOYA(7741)が1月28日にオンラインで開いた2020年10~12月期(第3四半期)の連結決算(国際会計基準)の説明会では、「コンタクトレンズ」、「EUV(極端紫外線)」、「CO2(二酸化炭素)」などに話題が集中していたことがわかった。説明会の内容をテキストマイニングし、分析した。
20年10~12月期は売上高に相当する売上収益が前年同期比ほぼ横ばいの1469億円、税引き前利益が同20%増の458億円だった。
増益をけん引したのは、メガネやコンタクトレンズのライフケア事業だった。同事業は売上高が2%増の945億円、税引き前利益が同35%増の207億円だった。前年同期は消費増税の反動減やベトナムのメガネ工場の立ち上げに関するコストがかさみ利益率が悪化したが、こうした影響がなくなった。新型コロナウイルス禍で販管費なども減少した。
コンタクトレンズは12%伸びたものの、消費増税の反動は大きく、コロナ禍によるテレワークの拡大や外出自粛の影響で若い女性などへの売り上げが伸び悩んだ。鈴木洋最高経営責任者(CEO)は「(市場)全般としては10%くらい落ちている」との認識を示し、「環境が悪ければ悪いなりにM&A(合併・買収)はやりやすい環境になっている」、「広告宣伝費も含めてしっかりおカネを使って集客していく」とテコ入れの決意を示した。
一方で活況を呈する半導体市況の追い風を受け、半導体の微細加工に使われる回路原版であるマスクブランクスの伸びが目立った。半導体を高性能化する「微細化投資」の恩恵を受け、EUV向けマスクブランクスの売り上げは、前年同期比で約50%増と大幅に増えた。
池田英一郎最高技術責任者(CTO)は、世界で唯一、EUV露光装置を手掛ける蘭ASMLの20年の出荷台数が31台だったとし、19年の25台から「順調に伸びた」と説明した。21年の出荷計画は40台と従来予想からは下振れしたが、半導体の微細化投資については「成長基調であることに変わりはない」と強調した。
主要顧客である半導体の受託生産世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の設備投資計画も21年は過去最高の250億~280億ドルと20年の170億ドルからさらに伸びる。このうち8割がEUV向けマスクブランクスが必要になるといい、「需要増にあわせて生産能力を増強していきたい」(池田CTO)と積極姿勢を示した。
アナリストはCO2の削減に向けた取り組みに高い関心を寄せた。鈴木CEOは、CO2削減には製造装置の電気の消費量を下げる必要があるものの、コストなどの兼ね合いから各社ともに思うように進んでいないと説明した。その上で「製造メーカーとして何が出来るのかをもう1度考え直さないといけない」とCO2削減に向けた施策が必要だと話した。