【QUICK Market Eyes 片平 正二】米経済専門チャンネルのCNBCは3日、アップル(AAPL)がジョージア州ウエストポイントの現代自動車傘下の起亜自動車の工場で電気自動車(EV)を製造するため、起亜自との契約をまもなく結ぶ予定だと報じた。2024年に暫定的な生産が始まる予定というが、最終的には延期される可能性もあるという。4日の韓国市場で起亜自の株価は一時4%超上昇して逆行高となっており、報道を受けて指数ウエイトの高いアップル株の動向も関心を集めそう。
報道を受け、ウェドブッシュは3日付のリポートで「我々はアップルがEVレースに参入するかどうかでなく、いつ参入するかが問題かと考えている」と指摘した。リポートでは自動運転技術や安全性、規制上の問題を考えると「アップルが最終的にこの道を歩むのであれば、特にクック最高経営責任者(CEO)やアップル自身が新製品の発売に慎重なDNAを持っていることを考えると、もっと長い時間がかかるだろう」という。
そのうえで「EV市場が今後10年間で最終的には全世界で1兆ドル規模の機会となる可能性があり、アップルがこの新しい時代のEVに飛び込むことは賢明な戦略的動きだ」と評価。「アップルはクパチーノで何年にもわたってこの自動運転のビジョンに取り組んできており、我々は現代自動車、テスラ、フォード、フォルクス・ワーゲンのような既存の自動車メーカーとのより大きな戦略的パートナーシップの可能性は、このEV市場の機会を利用する次の10年のための黄金のパートナーシップになると信じている」と指摘した。
「ウォール街の多くの人は戦略的な製品のリスクに加え、利益率や財務への影響を考えると、独自の自動車/工場の建設を始めるよりは既存メーカーとの提携が好ましいと思うだろう」とも指摘し、韓国メーカーとの提携がブランド価値に与える影響に関しては特に警戒しなかった。投資判断の買い(アウトパフォーム)を維持していた。