【QUICK Market Eyes 阿部哲太郎】自動車市況の回復、半導体、EV(電気自動車)の需要増の恩恵を受ける銘柄として変圧器や溶接機械を手掛けるダイヘン(6622)が注目を集めている。
※ダイヘン株価と日経平均株価の相対チャート。(2020年始を100として指数化)
■自動車メーカーの生産増が追い風
同社は自動車工場などで使われるアーク溶接ロボットでは高いシェアをもつ。FA大手のファナック(6954)は、1月27日自動車向けロボット事業について「米国ではEV関連の新規投資だけでなく、EV以外でも新モデル発売に伴う既存設備の更新が始まっている」と述べた。国内外での自動車メーカーの生産増は追い風となる。
半導体の活況のプラスに寄与する。同社は半導体搬送用のクリーンロボットや半導体シリコンウエハーに穴や溝を掘るエッチング装置向けのプラズマ電源装置などを手掛ける。プラズマ装置は、半導体製造装置大手の東京エレクトロン(8035)や米ラム・リサーチ向けに供給しているとみられる。半導体は一時記憶に使うDRAMメモリーの市況回復や微細化の進展で21年も高水準の設備投資が期待される。
このほか、電力機器の知見を活かしたワイヤレス給電の技術開発にも注力している。超小型EV(電気自動車)向けワイヤレス充電システムの実証実験を関西電力(9503)や大阪府堺市と実証実験を進めている。
■決算発表に期待
20年11月に発表した20年4~9月期(第2四半期)は、売上高は前期比4%減の633億円と減収だったものの、営業利益は同21%増の36億円と増益で着地していた。
次世代通信規格(5G)のインフラ整備など半導体向けが増益をけん引した。自動車市況の回復を受けた溶接ロボットや変圧器などの電力機器の回復に期待したい。同社は4日大引け後に決算発表を予定している。