【NQNニューヨーク 古江敦子】今週(2月16~19日)の米株式相場は、堅調な展開が続きそうだ。新型コロナウイルスのワクチン普及や米政府による追加経済対策の成立への期待が相場を支える。米経済指標が低調な結果でも、追加経済政策の成立を後押しするとの期待につながりそうだ。17日公表の1月26~27日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨は無難に通過しそうだ。
■ワクチン普及が規制緩和のきっかけに
ダウ工業株30種平均は前週末に過去最高値を更新した。2月に入って1475ドル(4.9%)上昇し、軟調だった1月(2.0%安)からの好転が鮮明だ。個人による投機的売買への警戒感が後退したのも一因だが、大和キャピタル・マーケッツアメリカのシュナイダー恵子氏は「1月下旬に米国で新型コロナのワクチン接種数の累計が、感染者数の累計を上回り、相場の潮目を変えた」と話す。米国民全体へのワクチン普及の道のりは長い。だが、ワクチン接種の増加は米地方・州政府がイベントやレストラン営業の規制緩和に動くきっかけになっているという。
米製薬のジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンは1回の接種で抗体生成が可能とされ、米食品医薬品局(FDA)による承認が視野に入る。スポーツスタジアムなど大型の接種会場のオープンが相次ぐほか、ドラッグストアでの接種の取り組みも進む。ワクチン普及に関連した好材料が出れば、米経済活動の正常化への期待が一段と高まりそうだ。
■「大幅な上昇は見込みにくい」
大型の追加経済対策案の協議が成立に向け進展するとの期待は根強い。民主党のペロシ下院議長は3月中旬をメドに成立を目指すという。経済指標が米景気回復の鈍さを示す内容となれば、法案成立を後押しするとの楽観につながりやすい。今週は17日に1月の小売売上高や卸売物価指数、鉱工業生産、18日に週間の新規失業保険申請件数や1月の輸出入物価指数、19日に2月の製造業購買担当者景気指数(PMI、マークイット調べ)速報値などが発表される。
もっとも、米株相場は過去最高値圏にあるため利益確定の売りも出やすく「大幅な上昇は見込みにくい」(ナショナル・ホールディングスのアート・ホーガン氏)。決算シーズンが終盤となり、買い材料が乏しくなってきた。前週に南アフリカで発生した変異ウイルスの感染が米西海岸で確認されたと報じられ、相場の重荷になる可能性がありそうだ。
米連邦準備理事会(FRB)は前回のFOMCで雇用など経済の回復ペースが「緩やかになった」と景気認識を下方修正しており、17日公表の議事要旨でもゼロ金利政策を長く続ける議論があったとみられる。量的金融緩和の先行きについての議論があったかどうか注目される。
主な米企業決算では、16日にパランティア・テクノロジーズ、17日のトゥイリオとファストリー、18日のアプライドマテリアルズ(AMAT)とウォルマート、キーサイト・テクノロジーズが注目される。15日はプレジデントデーの祝日で休場となる。