【QUICK Money World】新型コロナウイルスの感染拡大を機にビジネスを取り巻く環境は大きく変化した。顧客訪問や対面営業の制約が高まる中、地域密着度が高い地域金融機関は、非対面による新たなサービスを模索している。そんな中、香川県に地盤を置く大手地銀の百十四銀行(8386)は、LINEでの投資信託情報のアラートサービス導入を決めた。QUICKの「LINEアラートサービス」導入を決めた理由を営業戦略部・営業戦略グループの二川真哉グループ長と大西正晃上席調査役に聞いた。
※二川グループ長と大西上席調査役
「LINEアラートサービス」は、LINEを通じて株価や投資信託などの情報を顧客向けにタイムリーに配信するサービス。顧客が保有する投資信託の基準価額などの日々の通知に加え、基準価額が大きく動いた時にお知らせするといった機能が備わっている。
■事業環境が変化、非対面チャネルの拡充に活路
――コロナ禍による事業環境・販売動向の変化はありますか?
「新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、対面営業の制約が多くなっています。職域営業を通じて、平日は仕事などで接点が持てないお客様も増えています。お客様に非対面で効率的にフォローする必要性が高まっており、当行の中期経営計画の中でもチャネル改革の一環として非対面チャネルの拡充を掲げています。電話やDM(ダイレクトメール)中心でフォローしていますが、もう一段、非対面のサービスが欲しいと考え、QUICKのLINEアラートサービスを導入しました」
「お客様の年齢層に大きな変化はなく、セカンドライフ世代が中心です。当行は銀行ということもあり、投資初心者層のお客様が相当数いらっしゃいます。ライフプランシミュレーションを活用し、プランに沿った提案を強化しています」
「中長期の資産形成・積立投資向けには指数連動型の投信などシンプルな商品をご提案しており、新商品として米国株の指数型投信のラインナップを拡充しました。投資初心者に対して分かりやすい商品を提供したいと思い、運用会社側で取り扱いのなかった米国株価指数(S&P500とNASDAQ100)の投信を新規に組成してもらいました。一方、昨今は株式相場の好調さを背景に、テーマ型の投信、特に人工知能(AI)、ロボット、テクノロジー、ヘルスケア系に人気があります。SDGs(持続可能な開発目標)関連投信も運用成績が良く、売れ筋となっています」
――環境変化の中でのLINEアラートに着目した理由は?
「先ほども述べた通り、対面営業の制約が高まるなか、中期経営計画に掲げた非対面チャネルの拡充策の一つとして導入しました。金融機関の多くはメールによる情報提供をしてきたと把握していますが、メールは最近あまり読まれない傾向があると感じています。一方、LINEは日本で約8600万人のユーザがいます。年齢に関係なく、多くの人が生活の中で使用しているので、LINEでの情報提供の方が受け入れられやすくなっていると判断しました」
■顧客に基準価額を自動で通知、行員の負担も軽減
――LINEアラートを導入して反響はいかがですか?
「LINEアラートサービスは、お客さまが知りたい投信の基準価額や、基準価額が大きく動いた時にアラートで知らせるなど便利な機能があり、お客様に安心感をご提供できると思っています。実際、日々新聞を見て基準価額を記録されているお客様から好評を得ました。最初の登録時に多少のフォローは必要ですが、一度登録してしまえば、お客さまが何か特別な操作をする必要なく、定期的に情報が通知されるため、とても便利だと思っています」
「香川県では地元紙を読む方が多いのですが、地元紙の場合、一定の残高がある投信しか掲載されません。日本経済新聞を購読していないお客様は、基準価額が分からないことが多く、営業店によく問い合わせの連絡を頂いていました。一方で、営業員から定期的に基準価額についての連絡が入らないという不満の声もありました。LINEアラートサービスを導入したことで、こういった問題も解決できました。行員からも、これまで個別に対応していた基準価額の問い合わせの負担が減り、お客様へのより深いフォローに時間を割けるようになったとの声が出ています」
「今は少しずつ利用者を増やしている段階ですが、投信に熱心なお客さまを中心に、LINEアラートサービスを『おともだち登録』していただくよう取り組んでいます。約3万7000口座ある投信保有者のうち、将来的には1万口座のお客様に登録してもらえればと思っています。ある程度登録が進めば、これまでDM等で実施していたセミナーなどもLINEでご案内し、効率化が図れると考えています。DM発送のコスト削減が見込めますし、電話で集客する行員の負担も減らせると期待しています」
■情報提供と対面コンサルの「両輪」でお客様をサポート
――QUICKを選んだ理由は何ですか?
「当行のホームページ(HP)等では投信の情報提供元がQUICKであり、既存のツールとの相乗効果の期待もあってQUICKのLINEアラートサービスを選びました。LINEアラートサービスを通じて当行のHPのマーケット情報画面へのリンクができるなど、LINEで気がついたらワンクリックでマーケット画面へ飛べるのでお客さまの使い勝手が良いと思います」
「私どもは投信に関してHPやタブレットなど複合的にQUICKのサービスを利用しており、これまで営業現場からとても使いやすいという声を聞いています。LINEアラートサービスをご提案頂いた当初、導入まで6カ月以上かかるとの想定でしたが、実際は導入決定後4カ月程度でご対応いただき、思っていた以上のスピード感で導入できて良かったです」
――地方金融機関としての今後の取り組みを教えてください。
「百十四銀行は、総合コンサルティンググループへの転換を目指しており、お客さまのライフプランを軸にしたサービスをご案内していきます。特に投信への注目は高まっていくと思っており、今回導入したLINEでアラートサービスの様な非対面での情報提供と、対面でのコンサルティングを『両輪』として組み合わせて、お客さまをサポートしていきます」
「これまで当行は日経平均株価などの指数を参照する仕組債の販売を推進してきました。投信を保有するお客様だけでなく、仕組債を保有するお客様も一定数いらっしゃいます。今回のサービスでは、日経平均株価などマーケット情報へのリンクもできるので、仕組債を保有するお客様に向けてもLINEでの価格情報の提供は有益だと考えています」
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