東京証券取引所は現物株の取引終了時間を現在の午後3時から午後3時半に延長することを検討している。現在の東証の取引時間は米ニューヨークやシンガポール、香港に比べて短い。昨年10月のシステム障害を受けて、復旧後の取引時間を確保するべきとの見方が増え、取引時間を30分延長させる方向で調整が進んでいる。
これまでも取引時間の延長は度々議論されてきたが、コスト面の負担などから断念してきた。取引時間の延長は、どの程度の効果が見込めるのか。10月のQUICK月次調査<株式>で市場関係者に東証が取引時間を延長した場合の売買高の見通しを聞いたところ、6割が「売買にはほとんど影響はない」、3割弱が「売買は増えるが1割以下の増加」と答えた。「売買注文が多い時間帯は寄りと引けであり、ザラ場を延長しても影響は限定的」(投信投資顧問)との声があった。また「市場関係者の労働時間が30分後ずれし、働き方改革に逆行する」(銀行)との見方もあった。
中国恒大集団の債務問題が株式市場に与える影響についても聞いた。この問題が世界の株式市場に与える影響は「限定的」(32%)との見方が最も多かった。続いて「世界の株式相場の調整につながる」(26%)、「中国市場の調整にとどまる」(25%)との回答が続く。状況を深刻とみるか楽観的にみるか、市場参加者の見方は分かれているようだ。足元でアジアの不動産会社の社債利回りが上昇しており、アジアの不動産市場へと影響が波及しつつある。「(影響は)中国当局の姿勢次第」(証券会社)との声が聞かれた。
調査は国内機関投資家の運用担当者など210人を対象に実施し、126人が回答した。調査期間は10月5~7日。