緊迫するウクライナ情勢を巡り、外為市場関係者は軍事衝突が発生した場合は円買いが進むと予想している。QUICKと日経ヴェリタスが共同で実施した2月の月次調査<外為>で、ウクライナを巡って軍事衝突が起こった場合に最も買われる通貨を聞いたところ、「円」が42%で最多だった。「米ドル」が36%で続いた。その場合、原油先物相場は1バレル100ドルを超えて上昇するとみられている。
基軸通貨であるドルは、一般的に有事の際に買われやすい。米連邦準備理事会(FRB)は3月にも利上げに踏み切る見通しで、本来なら日米の金利格差からドル買いが進みやすい状況にある。外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は「経常黒字などの観点から円の『安全通貨』としての地位はなお高いうえ、米国がウクライナ問題で当事国に近い影響もある」と話す。円と同様に市場で安全通貨とみなされているスイスフランも17%の支持を集めた。
最も売られる通貨では「ロシアルーブル」との回答が55%で最多だった。続いて多いのは「ユーロ」で、この2通貨で回答の91%を占めた。
原油先物相場は一段高が見込まれている。軍事衝突が発生した場合のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の動向について聞いたところ、「100ドル~120ドルに上昇する」が67%で最多だった。「120ドルを超えて上昇する」との回答も20%あった。
FRBの反応に関しては「金融政策に直接の影響はない」との見方が46%だが、「利上げのペースを緩める」が28%、「利上げのペースを速める」が26%と、政策変更がある場合は見方が割れた。
もっとも市場参加者は軍事衝突に発展する可能性自体を低く見積もっている。ウクライナを巡って軍事衝突が起こる可能性は、発生する確率が「25%未満」が44%、「25%~50%」が30%で50%以下とみる市場関係者が合計で9割を超えた。
調査は2月7~9日に実施。金融機関や事業会社の外為市場関係者82人が回答した。