【NQNロンドン=菊池亜矢】原油価格が急騰している。ウクライナに侵攻したロシアに欧米など主要国が経済制裁を強化。ロシア産原油の輸出が減るとの観測から、3日には国際指標の北海ブレント原油先物(期近)が1バレル119ドル台と、2012年以来の高値をつけた。その動きと逆行するのが欧州単一通貨のユーロだ。
エネルギー高は企業や家計の活動を萎縮させ、ユーロ圏経済の減速リスクを高める。それに伴いユーロ安・ドル高が進むと、ユーロ建てのエネルギー価格を押し上げるという「悪循環のインフレスパイラルに陥っている」(ドイツ銀行のジョージ・サラベロス氏)。2月のユーロ圏消費者物価指数の前年比上昇率は5.8%と前月(5.1%)から加速した。
ウクライナ情勢の深刻化で、金融政策の正常化に向けた軌道の修正を迫られた欧州中央銀行(ECB)。インフレ圧力緩和を目的にユーロ高を促す策として「欧州の結束を示すために主要7カ国(G7)による協調為替介入も排除すべきではない」(サラベロス氏)など、一部ではECBによるユーロ買い為替介入の思惑も浮上している。