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ライオン(4912) 想定以上の原料高を受け、利益面で下方修正

QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2022/05/13)

・今期は一般用消費財、海外とも減益に
 22/12期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上高3800億円→3860億円(前期比5%増)、事業利益250億円→210億円(同32%減)へ修正する。この期は従来、国内外での主要製品の出荷増で増収となるものの、原料市況・物流費の高騰や積極投資に伴う減価償却費負担の増加で減益になるとみていた。見方に大きな変更はなく、円安や海外での値上げを織り込んで売上高の見通しを引き上げたが、原料市況が想定以上に上昇しており、利益面では下方修正した。今期は一般用消費財、海外の両部門とも減益が避けられないと考える。続く23/12期以降も原料市況の高止まりや高水準の費用投入が続くが、海外での拡販と国内での高付加価値化の効果で吸収し、事業利益は徐々に回復に向かうと考える。

・1Qは主要各部門とも原料高の影響で苦戦
 22/12期1Qの連結事業利益は、前年同期比32%減の55億円。国内外で販売は拡大したが、原料高や物流費高騰、減価償却費負担増加で主要各部門とも利益面では苦戦を避けられなかった。

・リスクファクター ~一段の原料高進展など

・アナリストの投資判断 ~割高感はないが、上値の重い展開が続く見込み
 原料高影響や20年に需要が急増した衛生関連製品の反動減などが嫌気され、同社の株価は21年初めから22年春にかけて大幅に下落。直近では当研究所の今期予想連結PERで約22倍と、同社の過去の平均である同25倍程度を下回る。しかし、足元で一段の原料高が進んでいるほか、固定費負担の増加もあって今期は大幅な減益が避けられず、来期以降も当面は中長期的な成長へ向けた費用負担が続く公算が大きい。このため当面は、同社の過去の平均を下回る同20倍程度の評価にとどまり、上値の重い展開が続くと予想する。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

伊藤 健悟

シニアアナリスト

化学・繊維セクター担当


【プロフィール】
大阪大学経済学部卒業。山一證券入社、メリルリンチ日本証券を経て、現在に至る。
山一證券在籍時は個人向け営業に従事。マクロ、ミクロの両面からの事業環境・経営状況の分析に加え、その際に培った個人投資家の視点も重視しつつ、レポートの作成や講演などを行うことを心がける。


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