【日経QUICKニュース(NQN)】日本卸電力取引所(JEPX)が6月28日に発表したスポット取引価格(24時間平均、翌日受け渡し)は上昇し、前日に比べ3.6円高い1キロワット時45.26円だった。経済産業省は26日に発令した東京電力管内での電力需給逼迫注意報を28日時点でも継続している。酷暑の中での冷房需要などを背景に「29日も継続される可能性が高まっている」(電力市場関係者)との見方から価格が上昇した。福島県沖地震の影響などで電力需給が逼迫していた3月23日以来の高値を連日で更新した。
エリア別では東京エリアの翌日16時30分~17時00分が前日に比べ119.9円高い1キロワット時200円だった。大手電力が発表している電力需要見通し「でんき予報」で、電力の最大需要に対する供給の余力を示す予備率が安定供給のために必要な3%を下回ることが複数の供給区で見込まれたことから、上限価格が200円と通常より引き上げられている。関西エリアの翌日16時30分~17時00分は同8.21円高い1キロワット時80.11円だった。
そもそもなぜ、電力が逼迫しているのか? 原発や火力発電の稼働停止が一因だけれど、もう一つの根深い問題がある。 注目すべきは逼迫の時間帯だ。通常、電力使用量のピークは14時頃なのだが、実はこの時間帯ではなく16時~18時台に最も電力が逼迫する。その原因は太陽光発電! こいつは正午に最も発電量が多くて、東京では全使用量のうち20%以上、九州や四国では50%近くも発電する超優秀な供給元だけれども、夕方になると途端に発電量が減少してしまい、数%しか供給できなくなる。けれど、人間の使用量は夕方になってもさほど減少しないため、需要と供給にギャップが生じているのだ。 そもそも日本の再エネ事業が太陽光一辺倒なのが問題で、その原因は数年前まで太陽光のFIT価格(固定買い取り価格)が優遇されていたから。これにより「太陽光しか勝たん」状態になり、現在に至る。特に立地条件のよい九州に集中した結果、このエリアでは5月になんと太陽光だけで全使用量を上回ってしまい、出力制御の要請も発動した。昼間は造りすぎるくらいなのに、夕方になると全然ダメという不安定さが問題なのだ。正直、エネルギー政策の失敗だと思う。