【NQNロンドン 菊池亜矢】独BMW株が底堅い。7月27日の終値は76.58ユーロと6月末から4%高い。年初来でみた下落率は27日までで13%と、同業の独メルセデスベンツ・グループ(17%)や独フォルクスワーゲン(26%)に比べると小さい。BMWは電気自動車(EV)へのシフトを進め、中国市場での販売を強化する方針を示しており、収益期待が株価を支えている。
※BMW、メルセデスベンツ・グループ、フォルクスワーゲンの株価相対チャート。(2022年始を100として指数化)
BMWの2022年1~6月期の世界販売台数は「BMW」「MINI」「ロールス・ロイス」の3ブランドで、前年同期比13%減の116万443台だった。中国の新型コロナウイルス対策の都市封鎖や半導体の供給制約などの影響が出た。ただ、BMWとMINIのEV販売台数は7万5891台と前年同期の2倍強に増えたほか、高級ブランドのロールス・ロイスは7%増えた。
BMWはEVの22年の販売台数を21年比2倍以上にする計画で「22年上半期を終えた時点で、この目標達成に向けて完全に軌道に乗った状態だ」とコメントした。さらに、30年までには世界販売の50%をEVにする目標を掲げ、前倒しで達成すべく車種のラインアップ拡大を加速している。23年にはロールス・ロイスで初のバッテリー駆動タイプ「スペクター」を販売する予定だ。
中国市場の強化にも積極的で、6月には中国・瀋陽に150億元を投じて工場を開設した。中国の年間生産台数を21年比18%増の83万台に引き上げることを目指す。BMWにとって中国は最重要市場で、21年年間の販売台数のうち34%を中国が占めた。17年の24%から一段と高まった。
22年1~3月期の売上高は前年同期比16%増の311億4200万ユーロ、営業利益に相当するEBIT(利払い・税引き前利益)は12%増の33億9100万ユーロだった。中国合弁会社の連結化が収益を押し上げた。12月期通期の販売台数はウクライナ戦争の影響を考慮して、前年並みを見込む。世界的な景気懸念や原材料高など不安材料はあるが、最重要市場への注力姿勢を鮮明にしたのが株価を支えている。