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三菱ケミカルグループ(4188) ディスプレイ材料が減速、自動車生産の回復も遅れる

QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2022/08/12)

・コア営業利益の見通しを若干ながら減額修正
 23/3期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上収益4兆3700億円(変更なし、前期比10%増)、コア営業利益2820億円→2770億円(同2%増)へ修正する。従来は、22/3期に大きく業績を伸ばしたケミカルズ部門が、原料高影響などで今期は落ち込むと想定。機能商品など他の各部門は総じて堅調に推移するものの、連結全体でコア営業利益は前期並みになるとみていた。見方に大きな変更はないが、原料・製品市況やディスプレイ材料の需要減速、自動車生産の回復の遅れなどを勘案し、コア営業利益の見通しを若干ながら引き下げた。続く24/3期以降は主要製品の数量増と合理化などの効果で業績が拡大に向かおう。同社は今後、24/3期を目途に石化事業などを分離する方針で、その動向に注目したい。

・1Qのコア営業利益は採算悪化と数量減で2桁減に
 23/3期1Qの連結コア営業利益は、前年同期比19%減の721億円。原料高や一部製品の市況下落で採算が悪化したほか、販売数量も減少したため、2桁のコア営業減益を避けられなかった。

・リスクファクター ~自動車生産の回復の遅れなど

・アナリストの投資判断 ~足元の水準は割安。石化再編が進展すれば一段の評価上昇も
 同社の株価は21年9月から足元にかけて軟調に推移。直近では当研究所の今期予想連結PERで6倍台と、総合化学メーカーの平均を下回る。今期のコア営業利益が前期並みにとどまる公算が大きい点を考慮すると、同社の過去の平均を下回る8倍程度の評価が妥当とみているが、足元の水準には割安感がある。原燃料・製品市況の変動や最終製品の需要動向など事業環境には不透明感が強く、短期的には上値の重い展開も予想されるが、株価は徐々に値を戻すとみられ、石化事業の再編が具体化すれば評価が一段と切り上がる展開もありそうだ。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

伊藤 健悟

シニアアナリスト

化学・繊維セクター担当


【プロフィール】
大阪大学経済学部卒業。山一證券入社、メリルリンチ日本証券を経て、現在に至る。
山一證券在籍時は個人向け営業に従事。マクロ、ミクロの両面からの事業環境・経営状況の分析に加え、その際に培った個人投資家の視点も重視しつつ、レポートの作成や講演などを行うことを心がける。


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