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資生堂(4911) 日本市場の回復遅れや戦略投資で今期はコア営業減益に

QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2022/08/31)

・国内販売が依然低迷、中国市場でも苦戦
 22/12期の連結業績について企業価値研究所では、売上高1兆600億円→1兆400億円(前期比3%増)、コア営業利益(日本基準の営業利益に近い指標)590億円→400億円(同6%減)へ引き下げる。欧米やトラベルリテールの各事業は好調に推移しているものの、国内での販売回復が遅れているうえ、中国でも都市封鎖などの影響で苦戦。会社側は追加的なコスト削減に取り組むが、一方でブランド力強化などを目的に戦略的な投資を行う方針で、コア営業利益は小幅ながら減益となろう。続く23/12期以降は、高付加価値製品の拡大と合理化・構造改革の効果で利益水準が着実に高まると予想する。

・上期は日本と中国が赤字に転落
 22/12期上期の連結コア営業利益は前年同期比24%減の175億円。欧米やトラベルリテール事業が伸長したものの、日本事業と中国事業は販売低迷やマーケティング費用増加で赤字に転落し、連結全体でコア営業利益は大幅減を避けられなかった。

・リスクファクター ~日中市場での販売回復の遅れ

・アナリストの投資判断 ~国内外の販売動向をにらみながら、神経質な展開に
 国内や中国での販売苦戦を受け、同社の株価は21年9月から22年6月にかけて大きく下落。その後も低迷が続いている。欧米での販売好調やトラベルリテール事業の伸長で来期にかけて業績は回復に向かうとみているが、収益の柱である日本市場での販売回復の動きが依然鈍いうえ、中国市場の動向にも不透明感がある。直近では当研究所の来期予想連結PERで約34倍と、過去の平均である40倍台を下回るため、一段の下値不安は小さいとみているが、当面は過去の平均を下回る38倍程度の評価にとどまり、各市場での販売動向をにらみながら神経質な展開が続きそうだ。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

伊藤 健悟

シニアアナリスト

化学・繊維セクター担当


【プロフィール】
大阪大学経済学部卒業。山一證券入社、メリルリンチ日本証券を経て、現在に至る。
山一證券在籍時は個人向け営業に従事。マクロ、ミクロの両面からの事業環境・経営状況の分析に加え、その際に培った個人投資家の視点も重視しつつ、レポートの作成や講演などを行うことを心がける。


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