日本企業の景況感が改善している。QUICKが8日に発表した11月の「QUICK短期経済観測調査」(QUICK短観)で、製造業の業況判断指数(DI)は前月調査から2ポイント改善のプラス10となった。金融を含む全産業DIは前月から8ポイント改善のプラス23と、3カ月ぶりの高水準となった。
消費者物価指数の見通し(前年比、1年後)は平均で2.2%上昇と、前月に引き続き過去最高となった。2年後以降の上昇率も、前月を0.2ポイント上回る2.2%となった。また、雇用人員について「過剰」から「不足」の回答比率を差し引いて算出する雇用人員DIは全産業でマイナス35に低下し、2020年3月以来の低水準を付けた。企業の人手不足が深刻になっているようだ。
QUICKでは毎月、全国の証券取引所に上場する企業を対象に業況や事業環境に関するアンケートを実施し、結果をQUICK短観調査としてまとめている。11月調査は10月24日から11月2日まで実施し、266社が回答した。
対中関係は「現状維持」が35%
話題のトピックについて聞く特別調査では、中国の習近平国家主席が異例の3期目続投を決定したことを踏まえ、中国市場との関わり方について尋ねた。「国による突然の規制や台湾情勢などリスクもあり現状維持とする」が35%と最多だった。「積極的に開拓する」は9%、「関係を減らす」「関係を最小化する」は合わせて8%となった。一方で「中国と事業上の関係はほとんどない」との回答が44%で最多だった。
コメントでは、「生産調達や原価に大きな影響を与える情勢変化があれば見直しする」、「リスクコントロールは行うものの、市場の拡大に合わせた事業展開を行う」といった意見も見受けられた。