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ソフトバンクGの株価に熱帯びるMBOの思惑 自社株買い加速で再浮上(日本株ストラテジー)

【日経QUICKニュース(NQN) 中山桂一】ソフトバンクグループ(SBG、9984)をめぐり、MBO(経営陣が参加する買収)の可能性が再び市場で話題になっている。背景にあるのが10月の急ピッチな自社株買いだ。MBOへの期待からSBG株は9日に連日で年初来高値を更新し、節目の7000円台を約1年ぶりに回復した。

■自社株買いは続く

「海外投資家がSBGはMBOに踏み切るのではないかと話している」――。ある外資系証券のトレーダーはこう打ち明ける。きっかけは8日にSBGが発表した10月18日以降の自社株買いの状況だ。8月に決議した4000億円を上限とする自社株買いについて、10月末までの取得額は1975億円にのぼった。設定枠に対する買い付けの進捗率は金額ベースで早くも49%に達した。

10月18日から月末までの1日の買い付け規模を平均すると、日々のSBG株の売買代金の13.8%に相当する。国内証券のストラテジストからは前日のSBG株の売買代金の15%程度が自社株買いの上限になっているとの指摘もある。先のトレーダーは「同様のペースと仮定すると11月16日ごろまで自社株買いが続くのではないか」と読む。

■過去にも思惑

SBGが8日に公表した自己株券買い付け状況報告書によると、10月末時点の保有自己株数は2億3086万株。発行済み株式数の13%超だ。3月末時点で孫正義会長兼社長の保有株数は4億6016万株。孫社長と自社株保有分を合計すると40%を超える。

さらに追加の自社株買いがあれば過半数に達するとの見方がMBOの思惑につながっている。SMBC日興証券の菊池悟氏は8日付リポートでSBGについて「遠くない将来、MBOなどによって企業としてのあり方を見直す可能性がある」と指摘した。

SBGのMBO観測は2020年にも浮上した経緯がある。孫社長は決算説明会や株主総会のたびにMBOについて「ノーコメント」を貫いてきた。

SBGは11日に22年4~9月期決算を発表する。これまで決算説明会で孫社長は決算内容や戦略などについて詳細に説明し、質疑応答にも丁寧に応じていた。今回は冒頭あいさつのみ。MBOについては、またしても語らないのだろうか。

著者名

QUICK Market Eyes 中山 桂一

2008年QUICK入社。13年に日本経済新聞社商品部(当時)に出向し記者職に就く。その後も日経QUICKニュース(NQN)社やQUICKデリバティブズコメント、エクイティコメントでマーケットの最前線でプロ向けの執筆業務に携わる。


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