米連邦準備理事会(FRB)が2023年にも利下げに踏み切るとの観測が債券市場で強まっている。QUICKが11月28日に発表した11月のQUICK月次調査<債券>で、FRBが利下げを実施する時期を聞いたところ、2023年下期との回答は合計52%となり、半数以上が2023年までに利下げを実施すると予想した。足元の物価指標の落ち着きなどでインフレ懸念が後退し、早期の利下げを視野に入れる市場関係者が増えている。
一方、大規模な金融緩和策を続ける日銀では黒田東彦総裁が2023年4月に任期満了を迎える。次期総裁が誰になるかの予想では、雨宮正佳日銀副総裁との回答が71%だった。また新総裁が率いる日銀で、2023年度末までにイールドカーブ・コントロール(YCC)の修正に向けた動きがあるかを項目別に聞いたところ、軽微な変更ながら緩和縮小方法に舵を切るとの見方が多かった。
項目別にみると「政策金利のフォワードガイダンス修正」は73%、「長期金利ターゲット変動幅拡大」は54%が「ある」と答えた。一方で「長期金利ターゲットの撤廃」は25%、「マイナス金利解除」は34%に留まり、現行の政策を撤回するほどの方針転換はないとの見方が多いようだ。回答者からは「23年度内に行われるのは制度撤廃に向けた本格的な修正ではなく、いびつな形になっているイールドカーブを解消するなどの内容に留まる」(証券会社)との声があった。
国内金利の先行き予想は4カ月ぶりに低下した。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りの見通し平均は6カ月後(23年5月末)が0.272%と、10月調査時点の6か月後予想より低下した。もっとも、日銀総裁が交代する来年4月以降に国内金利水準が切り上がるとの予想は維持されている。
調査は11月21〜24日にかけて実施し、債券市場関係者119人が回答した。