【NQNニューヨーク=川上純平、古江敦子、川内資子、松本清一郎】
■アップル反発、「iPhone生産が回復し始めた」と伝わる
29日の米株式市場でスマートフォンのアップルが反発し、前日比2.8%高の129.61ドルで終えた。米ウォール・ストリート・ジャーナルが29日、「iPhone(アイフォーン)の高価格モデルの生産は回復し始めた」と報じ、買い安心感が広がった。新型コロナウイルスの感染拡大で主力の中国工場で労働者が確保できず、iPhone生産が遅れるとの懸念から前日に3%余り下げ、昨年6月以来の安値を付けていた。
報道によると最新の「iPhone14」で高価格モデル「Pro」の生産が回復しつつあるという。JPモルガンが27日に発行したレポートやiPhone生産の関係者の話を基に報じた。感染者数の増加で労働者確保が難しくなっているが、厳しい行動規制に反発した工場労働者と警察の衝突が表面化し、労働者が流出した11月に比べれば状況は改善しているという。足元で中国工場の稼働率は7割に戻っているようだ。
台湾の調査会社、トレンドフォースは28日、労働力不足で2023年1~3月期のiPhone出荷は4700万台と前年同期比22%減ると予想した。中国で生産を請け負う鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の富士康科技集団(フォックスコン)は、3月まで工場に残る労働者に追加ボーナスを支払うなどして労働者確保に努めている。
■ディズニーが反発 「アバター」続編の興行収入が10億ドル突破
29日の米株式市場で映画・娯楽のウォルト・ディズニーが3営業日ぶりに反発し、前日比3.6%高の87.18ドルで通常取引を終えた。16日に封切りされた同社の映画「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」の世界興行収入が10億ドルを超えたと28日に発表した。株価は前日にかけて下げ足を速めており、見直し買いを誘った。
同作は2009年に大ヒットした映画「アバター」の続編。ディズニーによれば、興行収入が公開後2週間で10億ドルを超えるのは映画史上で「ウェイ・オブ・ウォーター」が6作品目という。公開後初の週末の興行収入は予想を下回ったとして低調な出足が伝わっていたが、早めに大台を突破したことで収益貢献への期待が再び高まった。
株価は28日に一時84.07ドルと20年3月以来の安値を付けていた。下げが続いたため、値ごろ感があるとみた買いが入りやすかった面もある。
■ネットフリックス7%高 CFRAが投資判断を2段階引き上げ
29日の米株式市場で動画配信のネットフリックスが5営業日ぶりに反発し、一時は前日比6.5%高の295.00ドルをつけた。CFRAが投資判断を「売り」から「買い」に2段階引き上げた。目標株価は85ドルから310ドルに上方修正し、前日終値から1割強高い水準を見込んだ。11月から始めた広告付き低価格プランや顧客のパスワード共有問題への対策強化などによって、来年以降の収益は市場予想を上回ると予想した。
CFRAのアナリストは「どの動画配信サービスも、世界規模の事業展開で収益を上げるネットフリックスに追いつくのは難しい」と指摘した。今後は低価格プランの加入者が増え、広告収入も見込める。目先は「エミリー、パリへ行く」など人気ドラマの新シリーズの配信が続くことで契約加入が増え、解約の減少につながるとみる。
EBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)は2023年12月期通期が70億ドル、24年12月期通期は86億ドルと予想する。いずれもQUICK・ファクトセットがまとめた市場予想(68億5100万ドル、85億2300万ドル)を上回る。
■テスラが10%高、モルガンが「買い」を維持
29日の米株式市場で電気自動車(EV)のテスラ株が続伸し、一時は前日比9.6%高の123.57ドルを付けた。モルガン・スタンレーが投資判断を「買い」で維持した。目標株価は330ドルから250ドルに引き下げたが、前日終値の2.2倍の水準。「2023年12月期通期に競合他社に対するリードを広げそうだ」と指摘した。米利上げ長期化観測やテスラ車の需要減退への懸念から株価は今年は68%安、今月は42%安と大きく下げており、買い直しが膨らんだ。
モルガンのアナリストは23年のEV市場はこれまでの需要が供給を上回る状態から一転して、供給が需要を上回る「リセット」の年となるとの予想を維持した。「この状況下で自力で資金が確保でき、規模が大きく、コスト面での優位を保てる企業が勝ち組になる」と予想した。
一方、テスラの22年10~12月期の販売台数は39万9000台と市場予想(42万9000台)を大幅に下回る予想を示した。「弱気シナリオ」での目標株価は80ドルと従来(150ドル)から大きく引き下げた。