外国為替市場の関係者が米国の景気悪化を警戒している。QUICKと日経ヴェリタスが共同で実施した1月の月次調査<外為>で、市場関係者に米国経済が景気後退(2四半期連続のマイナス成長)に陥るのはいつか聞いたところ、「7~9月期」との回答が38%と最も多かった。「年内はない」との回答は25%で、4分の3が年内の景気後退入りを予想している。
米国経済の重荷になるのは金融引き締めの継続だ。米連邦準備理事会(FRB)による利上げの打ち止め時期の予想を聞いたところ、「4~6月」との予想が46%と最も多かった。同様の質問をした昨年12月調査では最多予想が「1~3月」で、利上げの早期停止への期待が後退している。
年明けに発表された米国の主な物価指標はインフレ鈍化を示すなど、FRBの金融引き締めを後押しするような明確な材料は出ていない。ただ、みずほ銀行の唐鎌大輔氏は「インフレは鈍化しているとはいえまだ高水準で、3月までに利上げ停止が正当化されるような水準に下がるとは考えにくい」と話す。
FRBが利下げに転じる時期は「24年前半」が48%と最多で、「24年後半以降」と合わせて61%が利下げは来年以降とみている。米国経済は「定義上は景気後退入りするものの、深刻化はしない」(唐鎌氏)との声は多く、FRBが景気対策のために年内に利下げするという見方は後退している。
一方で日本のインフレは、これからピークに向かいそうだ。生鮮食品を除く消費者物価指数の前年同月比伸び率を尋ねたところ「1~3月にピークを付ける」との見方が46%と最も多く、4~6月と合わせて8割ほどが今年前半にピークになるとみている。上昇率は4%以上に達するとの見方が6割を超えた。日銀は18日までに開いた金融政策決定会合で大規模金融緩和の維持を決めたが、インフレ率の高止まりが続けば緩和修正の可能性が市場で意識されそうだ。
調査は1月16~18日に実施し、金融機関や事業会社の外為市場関係者72人が回答した。