QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2023/01/30)
・電子材料部門は円高もあって利益予想を減額
23/3期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上高2兆7500億円→2兆7700億円(前期比34%増)、営業利益9700億円→9900億円(同46%増)へ修正する。上期は各事業が好調に推移したが、その後塩ビ樹脂や半導体デバイスの市況が悪化しており、下期は業績の伸びの鈍化が避けられないとみていた。見方に大きな変更はなく、電子材料部門は円高の影響で利益予想を引き下げたが、塩ビ樹脂の市況が22年末に底打ちしたことから、生活環境基盤材料部門の見通しを増額。連結全体でも営業利益の予想を引き上げた。続く24/3期は塩ビ樹脂市況悪化により連結全体で減益となるが、利益は高水準を維持し、翌25/3期は再度増益に転じよう。
・期前半を中心に3Qまで業績を大きく拡大
23/3期3Q累計の連結営業利益は前年同期比68%増の8082億円。期中から塩ビ樹脂などの市況が悪化したが、期前半を中心に各事業とも総じて好調に推移し、3Q累計で大幅な増益を達成した。
・リスクファクター ~半導体市場の調整長期化など
・アナリストの投資判断 ~株価には割高感はなく、引き続き上昇へ
米国の金利上昇や半導体デバイス・塩ビ樹脂の市況悪化を受けて同社の株価は22年はじめから9月にかけて大きく下落したが、その後値を戻しつつある。直近では当研究所の来期予想連結PERで約12倍と、電子材料業界の平均をやや上回るが、安定した業績推移を続ける同社のPERが通常は業界平均を上回る点を考慮すると、割高感はない。塩ビ樹脂市況の悪化などで来期は一旦減益となるものの、利益水準は依然として高く、半導体デバイスの市況も23年後半には回復に転じるとみられる。これらの点を考慮すると、電子材料業界の平均を上回る同13倍程度の評価は可能であり、株価は引き続き上昇に向かうと考える。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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