日銀による超緩和政策の路線変更に対する思惑が強くなっている。QUICKが発表した1月のQUICK月次調査<債券>で、次に日銀が金融政策を修正する際にどのような動きがあると思うか聞いたところ、「長期金利ターゲットの撤廃」を予想する声が50%と最も多かった。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を軸とした金融緩和策の枠組み変更の可能性が意識されている。
日銀は昨年12月の金融政策決定会合で、長期金利の変動許容幅をプラスマイナス0.25%程度からプラスマイナス0.5%程度に引き上げた。ただ、上限とする長期金利の変動幅は、実勢よりかなり低いとの見方が多い。政策修正への思惑から国債の売り圧力が強まるなど、政策修正の主な目的である市場機能の改善には至っていない。このため、遠からず追加の修正が行われるとの見方が広がっている。他に回答の多かった選択肢としては「政策金利のフォワードガイダンス修正」(44%)と、昨年12月と同じ「長期金利ターゲット変動幅拡大」(35%)が続いた。
金融政策を修正する時期については「2023年4~6月」が53%と最も多かった。4月に日銀総裁が交代する見通しで、新体制下で金融政策を修正するとの見方は根強い。次期総裁の予想を聞いたところ、日銀副総裁の雨宮正佳氏が63%と多くの票を集めた。前副総裁の中曽宏氏が21%、元副総裁の山口廣秀氏は15%の票を集めた。
2023年の日本債券投資のリスクについても聞いた。最大のリスク要因としてもっとも多く挙がったのは「米国の政治・経済・金融の混乱」(34%)、続いて「日本経済・企業の変調」(19%)、「日本の財政規律の大幅な弛緩」(16%)だった。
調査は1月24~26日にかけて実施し、債券市場の関係者118人が回答した。