3月期決算企業の4~12月期決算発表が続いている。一部には経営陣が記者会見に応じる企業もある。日経QUICKニュースが配信した記者会見の経営コメントを以下にまとめた。
■郵船の丸山執行役員、コンテナ船運賃「これ以上下がりようのない水準」
日本郵船(9101)の丸山徹執行役員は3日、コンテナ船運賃について「これ以上下がりようのない水準まで下げているのではないか」と話した。2022年4~12月期の決算説明会で述べた。
過去に比べてコンテナ船運航会社の集約化が進んだことに加え、荷動きに合わせて減便していることから「(赤字運航を避けるなど)各社が合理的な行動を取ると考えるのが自然」と語り、一段の運賃下落の可能性は低いとの見解を示した。
また、コンテナ船のスポット運賃については「足元の下落幅は思っていたよりも少し大きい」と話した。欧米を中心に消費財の在庫の積み上がりやインフレ高進で需要が減退しており、10~12月期はスポット運賃の一段の下落や荷動きの鈍化が見られたという。丸山氏は「短期運賃市況の改善と荷動き回復には一定の時間を要すると現時点で想定している」とした。
■川崎汽の山鹿常務執行役員、スポット運賃「落ち着いてきている」
川崎汽船(9107)の山鹿徳昌常務執行役員は3日に開いた2022年4~12月期の決算説明会で、コンテナ船のスポット運賃の下落について「いったん落ち着いてきている」との見方を示した。またコンテナ船運賃の市況について「今年度中の回復は難しい」と述べた上で「これまで過去2年間が好調だった市況が平準化の過程にある」との見方を示した。
一方、株主還元策については「キャッシュフローの状況などに応じてその都度適切に見直す」と述べ、配当性向などを事前に示す考えはないとも語った。持ち分法適用関連会社の期末の想定為替レートを従来の想定値から対ドルで2円円高方向に見直した点について山鹿氏は「(経常利益を)100億円ほど下押しする要因になっている」と語った。
■三井物CFO、世界景気「中銀の金融政策で低迷回避できる」
三井物産(8031)の重田哲也最高財務責任者(CFO)は3日に開いた2022年4~12月期決算の会見で、懸念が広がる米国での景気後退に対する見方として「インフレ長期化を回避するため、丁寧な金融政策が実施されている印象だ」と指摘した。「米連邦準備理事会(FRB)など各国中銀の金融政策が奏功し、グローバルな景気低迷は回避できると期待している」と述べた。
三井物の株価はPBR(株価純資産倍率)1倍前後での推移が続いている。こうした実情の背景については「自社の成長投資に対する市場からの信頼不足や、エネルギー価格のボラティリティー(相場変動率)の高さが懸念されている」との認識を示した。「これからも機動的な自社株買いで1株あたりの利益向上を目指していくことを基本としている」と語った。
■ソフトバンクの宮川社長、携帯電話値下げ「3年間の氷河期の終わりみえた」
ソフトバンク(SB、9434)の宮川潤一社長は3日に開いた2022年4~12月期の決算説明会で、携帯電話料金の引き下げについて「3年間の氷河期の終わりがみえてきた」と述べた。23年3月期は料金下げの影響を900億円のマイナスと見込むが、24年3月期は500億円まで負の影響が縮小するという。
賃金を一律に引き上げるベースアップ(ベア)については「5.4%の昇給で現在最終調整している」と述べた。また携帯端末を販売するコンシューマー事業に関しては「コストダウンをしてV字回復を目指す」と語った。「外注費など1割の削減はトライしていきたい」という。
傘下のZホールディングス(4689)とLINE、ヤフー3社による2023年度中の合併の方針について「経営統合によるシナジー(相乗効果)を最大化する意志を示した」と述べた。「最高経営責任者(CEO)を1人にしたことで経営のスピードアップにつながる」と期待感を示した。さらにLINEが開発を進めている人工知能(AI)を活用したサービスを例に挙げ、「こうした世の中が驚くようなサービスをはやく商品化してもらいたい」とも語った。