【NQNニューヨーク=川内資子】15日の米株式市場で値動きが目立った銘柄は以下の通り。△は上昇、▲は下落。
◎消費者ローンのアップスタート(UPST) △28.1%
14日夕発表の2022年10~12月期決算は景気悪化によるローン需要の低迷で大幅減益で、最終赤字となった。23年1~3月期の見通しは市場予想を大きく下回った。ただ、市場では見通しは慎重すぎるとの見方が多く、悪材料出尽くしの買いを誘った。ループ・キャピタルは「最悪期は4~6月期で終わりそう」と投資判断を「中立」から「買い」に引き上げた。
◎半導体のアナログ・デバイセズ(ADI) △7.5%
15日発表の22年11月~23年1月期決算は市場予想を上回る増収増益となった。経済環境の不透明感が強いなかでも、自動車や産業向けが好調だった。23年2~4月期の売上高と1株利益見通しは市場予想以上となった。四半期配当の増額も発表した。
◎民泊仲介のエアビーアンドビー(ABNB) △13.4%
14日夕発表の22年10~12月期決算で売上高とEBITDA(利払い前・税引き前・償却前損益)が市場予想を上回って増えた。23年1~3月期の売上高見通しも市場予想以上だった。海外旅行の需要が強く、今後もこの傾向が続くとみる。「力強い1~3月期の見通しは23年12月期通期のEBITDA上振れの可能性を示唆した」(UBS)と、15日はアナリストによる目標株価の引き上げが相次いだ。
◎メディアのパラマウント・グローバル(PARA) △9.3%
著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる投資会社バークシャー・ハザウェイが22年10~12月期に保有株数を9月末に比べて増やしたことが分かった。14日夕に米証券取引委員会(SEC)に提出した四半期の保有有価証券報告書で明らかになった。
◎広告配信支援のトレードデスク(TTD) △32.8%
15日発表の22年10~12月期決算は売上高と1株利益が市場予想を上回った。景気減速で企業が広告支出を抑えるなか、データ分析に基づいて広告の費用対効果を最適化するサービスの需要が拡大した。決算説明会で経営陣は「23年もシェアを拡大し続けるだろう」と指摘し、23年1~3月期の売上高見通しは市場予想以上となった。
◎半導体受託生産の台湾積体電路製造(TSM) ▲5.3%
バークシャー・ハザウェイが14日に提出した四半期報告書で、保有するTSMCの米預託株式(ADS)の9割を売却したことがわかった。バークシャーに限らず、タイガー・グローバル・マネジメント、ブラックロック、キャピタルグループなど名だたるファンドがTSMCの持ち高を減らしていたことも判明した。
◎バイオ製薬のバイオジェン(BIIB) ▲3.5%
15日発表した22年10~12月期決算で売上高と1株利益は市場予想を上回った。ただ、会社見通しの23年12月期の売上高は市場予想以上に減り、1株利益の予想レンジの中央値も市場予想に届かない。後発薬との競合で苦戦している多発性硬化症治療薬を巡るデータ保護の訴訟で「有利な判決が出ると見込んでいる」と説明し、リスク要因とみなされた。
◎シェールオイル開発のデボン・エナジー(DVN) ▲10.5%
14日夕に発表した22年10~12月期決算で1株利益が市場予想を大幅に下回った。23年1~3月期の生産量は一部施設で1月に発生した火災の影響で22年10~12月期から減る見通し。23年12月期通期の設備投資見通しは高止まりを示し、目先は資本効率が悪化するとの懸念が強まった。
◎ネット通信インフラのアカマイ・テクノロジーズ(AKAM) ▲10.4%
14日夕に22年10~12月期決算と同時に公表した23年12月期通期の見通しではクラウド事業を中心に設備投資を増やすと明らかにした。売上高に対する比率は21%程度と前期(15%)から拡大する。市場では「過当競争になっているクラウド業界でアカマイが大手に価格面で対抗するのは厳しい」(RBCキャピタル・マーケッツ)との指摘があった。