【日経QUICKニュース(NQN)】米金融市場が予想する米連邦準備理事会(FRB)の利上げ到達点(ターミナルレート)が急旋回した。米金利先物の値動きから米金融政策を予想する「Fedウオッチ」をもとに年内の米政策金利のパスを描くと、10日時点でピークは6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の5.35%と「5.25~5.50%」あたりとなった。8日時点は9月のFOMC後の5.75%で、「5.50~5.75%」と「5.75~6.00%」の中間地点にあった。到達点の水準は切り下がり、時期も前倒しされた。
急転のきっかけは、10日に明らかになった米中堅金融SVBファイナンシャル・グループの傘下銀行の経営破綻だ。金融システムの安定へFRBは利上げに慎重にならざるを得ないとの見方が広がった。1月末時点では、到達点は6月のFOMC後の「4.75~5.00%」あたりとみられていた。その後、米国の景気やインフレの強さを示す経済指標が相次ぎ発表され、FRBのパウエル議長は今月7日の議会証言でデータ次第では「利上げペースを加速する用意がある」と述べた。このため市場で高まっていた金融引き締めの長期化観測だが、SVBの破綻で急速に後退している。
《政策金利予想の計算方法》
各時点におけるFedウオッチによる、年内の各FOMC後の政策金利予想を確率で加重平均した。例えば3月10日時点で3月22日に結果を公表するFOMCで決める政策金利の市場予想は「4.75~5.00%」が59.8%、「5.00~5.25%」が40.2%となっている。「3月10日時点の3月FOMCでの予想」は、政策金利の中央値を加重平均して「4.875%×0.598+5.125%×0.402=4.98%」と計算した。