【日経QUICKニュース(NQN) 鈴木孝太朗】3月期決算企業の期末が近づき、株式市場では配当取りの動きが意識されている。米金融システムを巡る懸念から市場の不安定感が増すなかでも、個人も機関投資家も高い配当利回りの銘柄に対する熱い視線は変わらない。特に市場で注目を集めるのが期末で一括して配当を実施する企業だ。
投資家にとって配当収入は値上がり益(キャピタルゲイン)と並ぶ大事な収益源だ。期末の権利確定日に株式を保有していれば株数に応じて配当金が得られる。株価の上昇が限定的でも1株当たりの配当を株価で割った配当利回りが高ければ、投資家には魅力だ。
配当利回りは通常年間の配当額で計算される。配当を重視する投資家にとって利回りは目安になるが、一度に得られる配当額の大きさもポイントだ。例えば、三菱UFJ(8306)の配当利回りは16日時点で3.8%だが、2023年3月期の期末配当だけで算出すると、1.9%になる。
そこで市場が着目するのが、期末配当のみを実施する銘柄だ。13日に売り出し価格が決まったゆうちょ銀行(7182)も期末のみに配当を実施し、売り出し価格を基にした利回りは4.4%だ。他にも日本郵政(6178)、第一生命ホールディングス(8750)といった銘柄が含まれる。
もっとも、配当の権利落ち後は株価に下落圧力がかかる。金融システム不安や業績悪化の懸念が続くようだと株価が低迷する可能性がある。「今は売られている銘柄も多いが、売り一巡後は期末の配当取りを意識した買いが見込める」(国内証券の情報担当者)との見方もある。3月末にかけて配当取りを巡る攻防は激しさを増しそうだ。
【主な期末一括配当の銘柄】 | |
銘柄名 | 配当利回り |
ゆうちょ銀(7182) | 4.50% |
日本郵政(6178) | 4.50% |
三井金属(5706) | 4.36% |
ほくほくFG(8377) | 3.74% |
第一生命HD(8750) | 3.67% |
クレセゾン(8253) | 3.52% |
宝HLD(2531) | 3.30% |
JR九州(9142) | 3.13% |
(注)配当利回りは16日時点 |