【日経QUICKニュース(NQN)】格付け大手のS&Pグローバル・レーティングは28日、東芝(6502)の長期発行体格付けを引き下げ方向の「クレジット・ウオッチ」に指定したと発表した。現在の格付けは「ダブルBプラス」。東芝が23日に投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)などからのTOB(株式公開買い付け)への賛同を表明したことを受けて判断した。
S&Pは、株式公開買い付けが実施された場合に東芝がJIPの買収目的会社が調達する株式買い取り資金のうち「相当程度を占めると想定される有利子負債分の返済義務を負う可能性がある」と指摘した。仮に借り入れが1兆円規模となる場合、2022年12月末(2111億円)と比べて純有利子負債の額が1.3兆円近くまで増加し、東芝の財務内容が大幅に悪化する可能性があると想定している。
さらに、厳しい経済環境が続く中で今後12~18カ月程度にわたって東芝の業績とフリーキャッシュフロー(純現金収支)がS&Pの従来の予想を下回る可能性があるとみている。
5月に発表される見通しの東芝の2022年度決算に加えて23年度の業績やキャッシュフローの見通しがS&Pの予想を大きく下回った場合には、株式公開買い付けの進捗にかかわらず格付けを1段階引き下げる可能性が高い。また、東芝が新たに返済義務を負う有利子負債が1兆円を超えれば、2段階以上引き下げる可能性も示した。