9日に植田和男氏が日銀総裁に就任した。27~28日の初めての金融政策決定会合で、現行の金融緩和策の修正に踏み込むのか。QUICKと日経ヴェリタスが共同で実施した4月の月次調査<外為>で植田日銀が初会合で政策修正に動くか聞いたところ、「修正しない」との予想が58%と過半を占めた。
「長期金利目標を修正・撤廃する」(22%)や「フォワードガイダンス(政策の先行き指針)を修正する」(14%)との回答もあったが少数派だった。植田氏は10日の就任会見で緩和の副作用に言及しつつも、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)やマイナス金利政策について「継続することが適当」と発言。早期の緩和修正観測が後退した。
一方、米国の金融政策を巡っては足元で年内利下げの見方が復活しつつある。米連邦準備理事会(FRB)が政策金利の引き下げに転じる時期は2023年中との回答が計44%に達した。前回3月上旬の調査では年内利下げの見方は1割強だった。
年内利下げの具体的なタイミングは「12月」の予想が最多。インフレ高止まりに配慮して5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でこそ利上げするとの見通しが多いが、その後は打ち止めとなり利下げを探る局面に入るとみられているようだ。
背景にあるのは米中堅銀行の破綻から始まった金融システム不安だ。今回の調査でも金融不安がこの先「収束していく」が38%に対し、「再燃する」が5%、「不安はくすぶり続ける」が57%と警戒ムードが残る。
マーケット・リスク・アドバイザリーの深谷幸司氏は米早期利下げ予想の増加について「金融不安に加え、3月の米雇用統計などの経済指標が弱く、景気鈍化が意識された」と分析。日銀に関しては「過度な緩和は時間をかけて修正を進めていくのではないか」と話す。
6月末の円の対ドル相場予想は「1ドル=130~135円未満」が53%で最多。現状の133円前後から横ばいの見通しだ。「125~130円未満」が37%で続く。12月末の予想は「125~130円未満」が最多の35%、次いで「120~125円未満」の28%だった。年末に向けてじわりと円高・ドル安方向に切り上がるとの見方が強い。
調査は4月10~12日に実施、金融機関や事業会社の外為市場関係者79人が回答した。
QUICK月次調査は、株式・債券・外国為替の各市場参加者を対象としたアンケート調査です。1994年の株式調査の開始以来、30年近くにわたって毎月調査を実施しています。ご関心のある方はこちらからお問い合わせください。>>QUICKコーポレートサイトへ