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信越化学工業(4063) 業績予想を下方修正。24/3期は従来の想定を上回る大幅な減益に

QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2023/07/31)

・塩ビ樹脂市況が低迷、半導体市場の回復も遅れる
 24/3期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上高2兆7000億円→2兆4300億円(前期比13%減)、営業利益8700億円→7800億円(同22%減)へ引き下げる。今期は従来、22年前半の米国塩ビ樹脂市場の好調の反動と、半導体デバイス市場の低迷などで上期が大幅な減益となり、下期には業績が上向くものの、通期で2桁の減益になるとみていた。見方に大きな変更はないが、塩ビ樹脂市況が想定以上に低迷しているほか、半導体デバイスメーカーの生産・在庫調整も長引く公算が大きくなったため、一段と下方修正した。続く25/3期以降は半導体デバイス市場が再度拡大に向かうとともに、米国塩ビ樹脂市場も安定して増収、増益基調となろう。

・1Qは塩ビ樹脂市況の悪化などで大幅な減益に
 24/3期1Qの連結営業利益は前年同期比24%減の1908億円。米国塩ビ樹脂市況の悪化などで生活環境基盤材料部門を中心に大幅な減益を余儀なくされた。

・リスクファクター ~半導体市場の調整長期化など

・アナリストの投資判断 ~不透明な環境下、当面は現状程度の水準で推移へ
 22年の冴えない展開から一転、23年に入ると年後半の半導体デバイス市場の回復を織り込む形で上昇に転じた同社の株価は、3月末に上場来高値を更新した後も7月前半にかけて値上がりを続けた。直近では、1Q決算に合わせて公表された自社株買いを考慮した当研究所の今期予想PERで約16倍と、同社の過去の平均的な水準にある。半導体デバイス市場の回復が遅れ気味となり、塩ビ樹脂市況の回復も鈍いため、今期は従来予想よりも減益幅の拡大が避けられそうにないが、来期以降は再度着実な増益基調が見込まれる。このため下値不安は小さいが、不透明な事業環境下で短期的なPER上昇も難しく、当面は現状程度の水準で神経質な展開が続くと考える。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

伊藤 健悟

シニアアナリスト

化学・繊維セクター担当


【プロフィール】
大阪大学経済学部卒業。山一證券入社、メリルリンチ日本証券を経て、現在に至る。
山一證券在籍時は個人向け営業に従事。マクロ、ミクロの両面からの事業環境・経営状況の分析に加え、その際に培った個人投資家の視点も重視しつつ、レポートの作成や講演などを行うことを心がける。


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