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三菱ケミカルグループ(4188) 一過性の要因を除くと今期はコア営業増益だが、従来予想を下回る見込み

QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2023/08/04)

・石化や半導体関連の事業環境が想定以上に厳しい
 24/3期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上収益4兆5700億円→4兆4500億円(前期比4%減)、コア営業利益2500億円→2400億円(同26%減)へ修正する。産業ガス部門が好調に推移する一方、石化製品や半導体材料の事業環境が想定以上に厳しい。今後期後半にかけてこれらの需要も徐々に上向き、23/3期に計上した一過性の収益の反動を除くとコア営業利益は連結全体で増益になるとみているが、従来予想に届かない見通しとなった。続く25/3期以降は、主要製品の販売数量増で増収、増益基調になると予想する。石化、炭素の両事業の再編進展にも期待したい。

・1Qは需要低迷が響いて低調な滑り出しに
 24/3期1Qの連結コア営業利益は前年同期比29%減の508億円。23/3期後半から石化製品や半導体関連製品の需要低迷が続いており、原料市況下落に伴う在庫評価損益悪化の影響とあわせて大幅なコア営業減益を避けられなかった。

・リスクファクター ~需要回復の遅れなど

・アナリストの投資判断 ~当面は神経質な展開に。事業再編期待が株価を下支え
 22年10月の600円台の水準から値上がりに転じた同社の株価は、足元にかけて大きく上昇し、1Q決算の発表直後には900円に迫る水準をつけた。直近では当研究所の今期予想連結PERで約13倍と、同社の過去の平均並みの水準にある。短期的な事業環境は厳しく、24/3期のコア営業利益は従来予想を下回る公算が大きいが、一過性の影響を除くと23/3期比では増益となる見通し。石化製品や半導体材料の環境悪化を考慮すると、PERの上昇も難しいが、具体的な日程が示されたことで石化・炭素両事業の再編へ向けた期待が高まり、株価の下支え要因となりそうだ。当面は主要製品の需要や市況の動向をにらみながら、現状程度の水準で神経質な展開が続くと考える。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

伊藤 健悟

シニアアナリスト

化学・繊維セクター担当


【プロフィール】
大阪大学経済学部卒業。山一證券入社、メリルリンチ日本証券を経て、現在に至る。
山一證券在籍時は個人向け営業に従事。マクロ、ミクロの両面からの事業環境・経営状況の分析に加え、その際に培った個人投資家の視点も重視しつつ、レポートの作成や講演などを行うことを心がける。


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