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円安が常時の日本は再び途上国へ─ 渋澤健(Shibusawa & Company)

記事公開日 2023/12/26 09:30 最終更新日 2023/12/26 13:54 日本株 国内景気 渋澤健

Shibusawa & Company 代表取締役 渋澤 健 氏Shibusawa & Company
代表取締役 渋澤 健 氏

今年最後の海外出張は12月初のインドでした。コロナ禍で数年間海外に渡航できずにいましたが、去年の5月に海外旅行を再開して以降、以前に比べて回数が増え、渡航先もかなり広がりました。今年だけでも、ケニア、アメリカ(2回)、モザンビーク、モーリシャス、フランス(2回)、スペイン、英国、モロッコ、そして、今回のインドです。(乗り継ぎを含むとドバイ、南アフリカ、フィンランドも。)

どこに行っても飛行場は旅行者で賑わっており、この数年間動けなかったことの反動なのか、人の動きは活発です。ただコロナ前と比べると、航空券の価格が驚くほど高くなっていて、海外に行く度に我が国の通貨の購買力が著しく棄損していることが嘆かわしいです。

貿易赤字国になってしまった

ドル円は140円代の前半に戻し、ようやく超円安の一服感がありますが、現在でも英ポンド・円は180円台で推移しています。社会インフラの整備や生活の利便性などを含む国力が(イギリス人の友人らには悪いですが)日本と比べて倍近いという実感は全く無いです。いかに我々が貧乏になってしまったかと、冷たい風に肩をすくめるだけです。

現在の円安は明らかに大問題です。輸出業者が潤い企業業績が好転するので良かろうという昭和時代の声が未だに聞かれますが、それは「貯蓄から投資」が進んでいない国民から富を吸い上げているだけです。そもそも日本の貿易収支は2011年に赤字に転落してから、「異次元の金融緩和」が継続している現在まで、黒字になった年は3回だけで、我が国は構造的に貿易赤字国になってしまったようです。

また、政府拠出に頼り続ける日本の政治経済の体制が継続しても、財政破綻は無いと言い切れるかもしれません。しかし、その代わりに通貨が信用力を失い、更に暴落しないとは言いきれません。長期金利までが国の中央銀行に制御され、リスク(価格発見)の調整機能が奪われている状態では、為替市場がそのリスク調整のしわ寄せをうけて、円安を引き起こしているとも考えられます。

面白味があるアクティブ投資

一方、現在の通貨安が我が国の常となり、これから構造的に円高に反転することが当面無いと開き直るのであれば対処する術はあります。かつて日本が途上国であった時代のように外貨を稼ぐことに重点を置くことです。新NISAなどで政府が資産運用立国の旗を振って若手世代が口座開設しても、国内投資でなく海外向きであることを問題視する声があります。ただ、これは政治的な課題になるかもしれませんが、経済的には極めて合理性のある動きでありましょう。これからの未来の担い手となる日本の若手が内向きで海外志向でないと嘆くのであれば、同じ彼らが海外に投資することを問題視するのは解せません。

一方、個人が円安下において外貨のメリットを得るためには、直接に外国資産に投資する必要はありません。個人が円で投資する日本企業が、海外の成長を取り込む事業をますます展開すれば良いのです。そういう意味では日本の株式投資においては、全体を買うインデックス投資(パッシブ運用)より、世界の成長を日本人の懐に収める企業を投資銘柄として厳選するようなアクティブ投資の方が面白味あると思います。

また個人が最終的な受益者となっている年金基金や保険会社などの機関投資家の資産運用はパッシブ運用に寄りがちなので、リスク分散として個人自身の資産運用はアクティブ運用に配分することの合理性もあります。資本市場においてパッシブ運用者の存在が、アクティブ投資家の超過利益の可能性の源泉です。

世界の期待にタイムリーに

もうひとつ私が海外で感じる、コロナ前と後での大きな違いは日本に対する期待です。自分が日本人なのでリップサービス分を割引きすべきかもしれませんが、どの国に行っても、日本ともっと関係を深めたいという声が以前よりも増しているような気がします。

過去の数十年間、世界が勢い良く成長する中、低温経済社会の日本がパッシングされた時代が続きましたが、世の中が混乱期に突入する時代では、日本経済社会の安定経済社会が魅了的なのかもしれません。そもそも日本の技術やセンスに対しては好感する声は、いつの時代でも聞こえていました。問題は日本が世界から求められていないことでなく、日本が世界の期待にタイムリーに応えていなかったことだと思います。この期待に日本はこれから応えなければならないと毎回、海外での声を聞くたびに痛感します。

日本は新しい時代に入ったと私は思っています。これから5年~10年で大企業が大きく変化する可能性が高まったように見えます。ただ、全ての大企業ではなく、新しい時代に適応する企業と、しない・できない企業との価値創造は格段に広まると思います。資産運用立国により政府が日本株式投資へ貯蓄から呼び込みたいのであれば、「成長と分配の好循環」のグローバル展開する企業の存在を重視すべきです。日本の新しい時代では、日本が再び途上国であるという精神の蘇りが必須です。

著者名

QUICK Market Eyes 池谷 信久


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