外国為替市場で米大統領選で民主党候補のハリス副大統領が勝利するとの見方が強まっている。QUICKと日経ヴェリタスが共同で実施した10月の月次調査<外為>で、次期大統領をハリス氏と予想した回答が77%にのぼった。共和党の前大統領トランプ氏は23%だった。
次期大統領と連邦議会選の予想の組み合わせは「ハリス氏と上院共和党、下院民主党」が35%で最多。民主党の改選議席が多い上院選は定数の3分の1を改選する。「ハリス氏と上下両院民主党」の「トリプルブルー」予想は7%にとどまる。
大統領と上下院の支配政党の組み合わせでドルがどう動くかを聞いたところ、「トランプ氏と上下両院共和党」の「トリプルレッド」ならドル買いが62%と最多。ドル売りとの回答も30%あった。「ハリス氏と上下両院民主党」ならドル買いが28%、ドル売りが35%だった。ねじれ議会の選択肢にはほとんど回答が集まらなかった。大統領と議会の支配政党が一致すれば政策が実現しやすく、為替が大きく動く可能性がある。
ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は「トリプルレッドなら関税の引き上げや不法移民の強制送還といったトランプ政策の実現可能性が高まり、インフレ再加速が意識され最もドルが買われやすい」とみる。トリプルブルーの場合には、「増税色の強いハリス氏の政策が景気を抑制するとしてドルが売られやすい」と予想する。
住友商事グローバルリサーチの鈴木将之氏はトリプルレッドの場合にドルが最も売られやすいと予想する。トランプ政権下では自由貿易や小さな政府といった伝統的な共和党の政策実現が見込みづらい。トランプ氏の公約が実現すれば財政赤字が拡大しやすく「市場は米ドルへの投資に慎重になりやすい」とみる。
次期大統領のもとで注目される政策は「通商政策」が50%と最多だった。「金融政策への関与」が20%、「外交・防衛政策」が14%と続いた。
27日投開票の日本の衆院総選挙を受けた円相場を聞いたところ、自公連立政権が過半数を獲得した場合は「影響は限定的」との回答が68%を占めた。過半数を割り込んだ場合は「円安」が38%、「円高」が34%と見方が割れた。「影響は限定的」は27%だった。
注目政策を3つ聞いところ、「外交・防衛政策」(50%)、「金融政策への関与」(50%)、「物価対策」(49%)に関心が集まった。
調査は10月7~9日に実施、金融機関や事業会社の外為市場関係者77人が回答した。
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