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アメリカの重要なマーケットイベントを知ろう! FOMCや雇用統計、CPIなどまとめて解説

市場用語再点検!アメリカのマーケットイベント

【QUICK Money World 辰巳 華世】米国の重要なマーケットイベントは、日本のマーケットにも大きな影響を与えます。今回は、投資家が必ずチェックすべき重要な米国のマーケットイベントや経済指標を紹介します。

アメリカのイベント・指標はなぜ重要?

米国の指標やイベントは、世界経済やマーケットに大きな影響を与えます。米国は世界でもっとも経済の規模が大きい国です。そのため、米国での景気が良くなれば、多くの国もその恩恵を受けやすくなります。加えて米国ドルは、「基軸通貨」として世界中で貿易や取引に使われています。米国の金融政策や金利に変化があると、米ドルの価値に影響し、結果として他の国の通貨や貿易にも影響が出ます。また、米国の金融市場は世界中の投資家が注目しています。米国株式相場の動きや金利動向は、世界中のマーケットに影響を与えます。

 

マーケットで注目されるアメリカの重要イベント

ここでは、米国で注目される主なイベント・指標を確認しましょう。

<米国の主要経済イベント・指標>

ジャンル イベント・指標 発表時期や回数 概要(カッコ内は発表機関)
金融政策 米連邦公開市場委員会(FOMC) 年8回 米中央銀行の米連邦準備理事会(FRB)が開く、金融政策を決定する会合
雇用関連 雇用統計 毎月第1金曜日 失業率や非農業部門雇用者数など米全体の雇用情勢を総合的に把握できる(米労働省)
ADP全米雇用リポート 毎月第1水曜日 民間企業における雇用者数の変化を示す(米民間雇用サービス会社ADP)
新規失業保険申請件数 毎週木曜日 初めて失業保険を申請した人の数を示す。労働市場の状態を把握する先行指標として注目される(米労働省)
物価関連 消費者物価指数(CPI) 毎月中旬ごろ 一般消費者が日々購入する商品やサービスの価格の変化を測る(米労働省)
米個人消費支出(PCE)デフレーター 毎月月末の前営業日 消費者が購入する商品やサービスの価格変動を測定する(米商務省)
景気関連・その他 国内総生産(GDP) 四半期ごと 一定期間内に国内で生産されたすべての財やサービスの総額を示す、最重要の経済指標の1つ(米商務省)
ISM景況感指数 毎月第1営業日 米製造業、非製造業(サービス業)それぞれの景況感を示す(米サプライマネジメント協会=ISM)
小売売上高 毎月中旬頃 米国内の小売業者が販売した商品の総額を示す(米商務省)
消費者信頼感指数 毎月最終火曜日 消費者の経済や雇用に対する信頼感を測定する(米調査会社コンファレンス・ボード)
住宅着工件数 毎月中旬頃 米国内で新たに建設が始まった住宅の件数を示す。住宅市場の動向や経済の健康状態を反映する先行指標(米商務省)

金融政策関連のイベント~FOMCとは

米連邦準備制度理事会(FRB)が決める米国の金融政策は、世界の経済や為替、金融市場に大きな影響を与えます。FRBとは米国の中央銀行で、お金の流れを管理する重要な役割があります。特に多くの人が仕事を持てるように「雇用」の安定と、インフレやデフレを防ぐ「物価」の安定を目指しています。

FRBが開く米連邦公開市場委員会(FOMC)は注目イベントです。FOMCとは、金利水準などの「金融政策」を決める会合です。日本でいえば、日銀の金融政策決定会合にあたります。FOMCはFRBの理事や各地区連邦準備銀行の総裁などの参加者で構成されており、年に8回会議を開いて経済の現状を分析し、政策金利の変更や据え置きを決定します。緊急時にも開催します。

FOMCでは当日の決定事項の発表に加え、FRB議長による記者会見に注目が集まります。また、FOMCの3週間後に公表される議事録の要約版である「FOMC議事要旨」なども投資家の関心を集めます。「政策・経済見通し(SEP)」、FOMC参加者の今後の政策金利の予測を示した散布図である「ドットチャート」なども今後の米国経済の行方や金融政策を占ううえで重要情報です。

 

雇用関連の指標~雇用統計とは

米国の経済指標の中でも特に注目度が高いのは雇用関連指標です。経済成長には雇用の安定が必須です。また、FRBが「雇用」と「物価」の安定を目指して金融政策を決めていることもあり、雇用関連の指標は注目されています。

雇用関連指標の中でも特に注目されているのは、「雇用統計」です。毎月第1金曜日に米労働省が発表します。米国全体の雇用情勢を総合的に把握できるため、市場関係者の注目が集まります。

雇用統計の主な内容には、「非農業部門雇用者数」があります。製造業やサービス業など農業以外の産業で、前月からどれくらい雇用者が増えたかを示しています。増加していれば、雇用が順調に増え、経済が拡大していると判断されます。

このほか、雇用統計には働きたいが実際には職がない人の割合を示した「失業率」や雇用者の賃金がどれくらい伸びているかを示す「平均時給の伸び率」などがあります。

雇用統計以外の雇用関連指標には、新規失業保険申請件数や米民間雇用サービス会社ADPが公表する全米雇用リポートなどがあります。

雇用関連の記事ではこちらをご参照ください。
 ⇒《雇用統計》金融政策占う重要指標、8月はやや改善か~米国株のABC

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物価関連の指標~CPIとは

物価関連指標も注目材料です。経済状況を把握するうえで、物価の動きは非常に重要です。FRBは雇用と物価の安定を目指しています。FRBは物価の動向を監視し、必要に応じて金融政策を変更します。そのため、物価関連指標はマーケットで大きな注目を集めます。

物価関連の指標で注目される指標の一つは、消費者物価指数(CPI)です。一般消費者が日々購入する商品やサービスの価格がどれくらい変化したかを測る指標で、米労働省が毎月発表します。CPIの上昇は物価上昇を意味しており、インフレの進行を判断する材料になります。

米国ではここ数年CPIなどインフレ指標への注目が特に高まっています。コロナ禍の影響やロシアのウクライナ侵攻などをきっかけにここ数年の米国では物価が上昇しました。急激なインフレ加速を抑えるためにFRBは2021年から2023年にかけて政策金利を複数回引き上げました。CPIなど物価指標の動向はFRBの政策判断に大きな影響を与えます。米国の金融政策の変更はマーケットにも影響をおよぼします。当時、米国の利上げが続く中、日本はマイナス金利を維持していたため、日米金利差の拡大から急速な円安が進みました。

CPI以外の物価関連指標では、個人消費支出(PCE)物価指数があります。個人消費の動向を反映し、消費者が購入する商品やサービスの価格がどのように変わっているかを示します。特にエネルギーや食品といった変動の大きい項目を除いた「コアPCE物価指数」が政策判断に重要です。

物価関連指標についてはこちらの記事もご覧ください。
 ⇒米CPIのポイントとは PCE指数よりも「早く狭く高く」~米国株のABC

景気関連の指標

雇用や物価以外の景気関連の指標も大切です。

GDP

米国の国内総生産(GDP)は、経済規模を把握するために非常に重要な指標です。米国内で四半期や半期など一定期間に生み出されたすべての財やサービスの総額を示します。GDPは経済活動の大きさや経済成長の度合いを測るうえで最も基本的な指標です。

ISM景況感指数

米サプライマネジメント協会(ISM)が発表する米製造業景況感指数は、景気の先行きを占う先行指標として注目されます。この指数は、製造業の購買担当者に対して毎月行われるアンケート調査の結果をもとに算出され、米国の製造業全体の動向を知ることができます。毎月の最初の営業日に発表され、製造業の活動が拡大しているか、縮小しているかを把握するために市場関係者から大きな注目を集めます。非製造業(サービス業)についても同様の指数があります。

小売売上高

米商務省が毎月発表する小売売上高は、米経済への影響が大きい個人消費の動向が分かる指標として注目されています。消費支出は米国のGDPの大半を占めるため、小売売上高は米経済全体を把握するための代表的な指標です。

まとめ

米国の重要イベントを把握することは大切です。特にFRBの金融政策が決まるFOMCが注目されます。FRBの政策判断に影響を与える雇用関連や物価関連の経済指標はマーケットに大きな影響を与えることがあります。米国重要イベントと内容、発表スケジュールなどをチェックしましょう。

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