10月10日(木)にマレットジャパンで、M-Live Auction”と近現代美術のオークションSale#241010が開催された。オンライン開催のM-Live Auctionでは、マルチプル作品を中心に落札予想価格平均12~18万円程度の作品が115点出品され、落札総額は1408万円、落札率は73.9%を記録した。一方、会場で開催されたセール#20241010では、落札予想価格平均78~112万円程度の作品が118点出品され、落札総額は1億2157万円、落札率は86.4%に達した。2つのセールの落札率は80.3%、落札総額は1億3565万円(落札手数料含まず・以下同)となっている。
ビュッフェ、ピカソなどヨーロッパ作家の好調が目立つ
トップロットは、LOT.087ベルナール・ビュッフェの作品《開かれた窓》(100.2×73.4㎝、油彩・キャンバス)で、落札予想価格600~1000万円のところ、落札予想価格内の920万円で落札された。2つのセールで、ビュッフェの作品は12点出品されたが1点を除いてすべて落札予想価格以上で落札され、堅実な結果を残している。次点は、オークションカタログの表紙を飾ったLOT.118パブロ・ピカソの版画作品。《肘掛け椅子の女No.4》(69.8×54.7㎝、リトグラフ、ed.50)は、落札予想価格600~800万円のところ、上限同額の800万円で落札された。ピカソは他にも競り上がりを見せ、注目を集めた作品もあった。中でもLOT.113《ヴァロリスの闘牛》(64.6×53.2㎝、リノカット、ed.195)は、落札予想価格60~80万円のところ、上限の3.4倍程度の270万円で落札されている。
全体的にヨーロッパ作家の好調が目立ち、ジョアン・ミロ、モイーズ・キスリング、アレコス・ファシアノスなどが良い結果を残した。
岡本太郎の2作品、予想価格を上回る落札
今回は、20世紀に活躍した日本の芸術家で、抜群の知名度を誇る岡本太郎(おかもと・たろう、1911-1996)にフォーカスを当てレポートする。岡本は、鮮やかな原色を用い、強烈なメッセージ性を持つ独特なスタイルの作品を手掛ける。絵画だけでなく、壁画や彫刻、製品デザイン等、作品ジャンルも幅広く、中でもパブリック・アートを多く残したことでも知られている。1970年に開催された大阪万博のシンボルタワーとなった作品《太陽の塔》や、渋谷駅に展示されている巨大壁画《明日の神話》などが代表作として挙げられ、現在も衆目に触れている。
会場で開催されたセールでは、2点の出品があった。いずれも落札価格上限の1.5倍程度で落札されている。1点目のLOT.051 《坐ることを拒否する椅子》(H45.7×W46.0×D46.0㎝、セラミック)は、座面に大きな眼があしらわれた座りづらい椅子の作品。本作と同一の作品の落札データを抽出分析したACF美術品パフォーマンス指標から動向をみる。2019年には落札予想価格平均43~66万円に対し、82万円程度の落札である。2021年頃まで落札予想価格平均は、ほぼ横ばいに推移する。落札価格も同じくほぼ横ばい推移ではあるが、2021年に100万円に達する程度まで上昇する。2023年の落札予想価格平均は、80~120万円と上昇し、落札価格は230万円と高騰がみられた。そして、2024年今回のセールでは、2023年と落札予想価格は同額の80~120万円、落札価格は185万円となっている。前年より下降しているが、落札予想価格を上回り落札され、堅調といえよう。今後も動向を注視していきたい。
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※次回のマレットオークション開催予定は12月12日
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