昨年11月23日(土)にシンワオークションが主催するオークションが開催された。本セールでは、近代美術PartⅡ、近代美術、コンテンポラリーアートの3ジャンルより、国内外で活躍する作家の絵画や工芸などの良品が155点出品された。うち139点の作品が落札され、落札率は89.7%を記録。全体の落札総額は4億1007万5000円(落札手数料含まず・以下同)と好結果を残した。
青が印象的なシャガールの優品、落札予想価格上限の1.5倍で落札
トップロットとなったのは、近代美術の最終LOTで出品されたマルク・シャガールの作品。恋人たちを描いた青を基調とした紙作品LOT.128《ヴィチェプスクとシルスの木の下の恋人たち》(64.6×54.7㎝、紙・インク、グワッシュ、パステル、テンペラ)は、落札予想価格4500~6500万円に対し9000万円と、落札予想価格上限の1.5倍の価格で落札された。シャガールは”色彩の魔術師”と呼ばれ、色彩表現が豊かな作家である。その中でも青い色は、”シャガール・ブルー”と呼ばれ、市場では高く評価されている。青が印象的なシャガールの優品に、注目が集まる結果となった。
コンテンポラリーアートからは、落札予想価格平均190~270万円程度の作品が27点出品された。他のジャンルと比較すると出品点数は少ないものの、カタログ上ではポップアートの特集を組み、ジャスパー・ジョーンズ、アンディ・ウォーホル、ロイ・リキテンシュタインの作品を丁寧に紹介するなど、作品への関心が高まる構成となっていた。落札総額は、5521万円、落札率は74%を記録している。
同ジャンル内で、最高落札となったのは、李禹煥の作品。LOT.158李禹煥《照応》(72.6×65.4㎝、キャンバス・油彩・顔彩)。落札予想価格2500~3500万円に対し、予想価格内の3200万円で落札された。トップロットとなったシャガール作品に次ぐ、高額落札作品となっている。
落札予想価格の上昇を続ける李禹煥
今回は、李禹煥(リ・ウーファン, 1936-)にスポットを当てる。李は、韓国で生まれ日本で活動する現代美術家。1960年代後半に日本で起こった芸術運動「もの派」の中心的な作家の一人で、理論的な基盤を築いた作家と言われる。ガラスや鉄板などで構成され「対象物の配置のみ」のインスタレーションや、キャンバスに線や点を反復的に描いていく平面作品が主な表現手段で、平面作品では「From point」「From line」シリーズなどが代表作として広く知られている。
出品作品と同じ技法の《照応》シリーズ20~30号の落札データをまとめたACF美術品パフォーマンス指標で動向を読み解く。2012年、落札予想価格400~500万円に対し、予想価格下限を下回る370万円で落札。5年後、2017年は、ほぼ横ばい推移となっており、翌2018年から、上昇が始まる。2021年になり、落札予想価格1500~2500万円、落札価格は1900万円と高騰する。今回のセールでも、2021年から落札予想価格は1000万円の上昇、落札価格は1.68倍まで伸びをみせた。
落札予想価格を大幅に超える目立つ伸びは見られないものの、上昇した落札予想価格内でも確実に落札され、堅調だ。現状、3000万円程度となるが、更なる上昇を見せることになるのか動向が楽しみだ。
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※Shinwa Auctionの次回開催予定は3月22日
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