ドナルド・トランプ氏が1月20日、米大統領に就任する。QUICKと日経ヴェリタスが共同で実施した1月の月次調査<外為>で、同氏のどの政策が為替相場に最も影響を与えそうか聞いたところ、「輸入関税の引き上げ」が最多の84%にのぼった。2位は「ドル高の是正」(38%)、3位は「米連邦準備理事会(FRB)の金融政策への関与拡大」(22%)だった。
トランプ氏は、外国からの関税や歳入を徴収する「対外歳入庁(ERS)」を就任日の20日に新設すると公表するなど、輸入関税の引き上げに意欲的だ。関税は輸入業務を担う米国企業が支払うため、引き上げ分は国内価格に転嫁され、インフレ再燃が懸念される。
マーケット・リスク・アドバイザリーの深谷幸司氏は、「トランプ氏はドルが強すぎると認識しており、対外貿易政策として輸入関税の引き上げとともにドル高の是正も併せて注目される」とした。
3月末までの主要通貨の強弱については、「ドル>円>ユーロ」との見方が最多の44%、「ドル>ユーロ>円」が次点の22%と、ドルが最も強いとの見方が合計で約3分の2を占めた。米景気の底堅さが意識されている。
一方、「円>ドル>ユーロ」との予想は21%あった。日銀による利上げの観測やトランプ政権によるドル高是正政策を背景に円高を予想する声もあった。ユーロは欧州の景気停滞や政治不安なども重なり、主要3通貨のうち最も強くなるとの見方は計6%と少なかった。
日銀の次の利上げ時期については「1月」が53%、「3月」が31%と、回答者の計8割超が3月までに利上げに踏み切ると見込んでいる。FRBの次の利下げ時期は「3月」が42%と最多。「1月」は2%にとどまる。欧州中央銀行(ECB)は1月に利下げするとの回答が6割を占めた。
年初にあたり2025年の円相場見通しを聞いたところ、「年初安・年末高」という結果になった。円の対ドル相場の見通しは、1月に最も円安、12月に最も円高を付けるとの回答が多い。すべての回答を平均すると、最安値は1ドル=162円26銭、最高値は141円91銭だった。
「1ドル=160円台で為替介入の可能性が意識されることから、円安進行余地は大きくない」との回答がある一方、「日銀の利上げペースは小幅にとどまる可能性が高く、日米金利格差は当面高水準のまま」と円安圧力を見込む声も根強い。
調査は14~15日に実施、金融機関や事業会社の外為市場関係者70人が回答した。
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