日本知財総合研究所 三浦 毅司
【PBRが低迷】
コニカミノルタ(4902)の株価純資産倍率(PBR)が低迷、この1年間、1倍を下回り続けている。2024年10月には旧村上ファンド出身者が設立したエフィッシモ・キャピタル・マネージメントによる大量保有が、また、11月5日には遺伝子検査サービスを手掛ける米アンブリー・ジェネティクス(カリフォルニア州)社の全株式譲渡契約締結が発表されたことなどで一時的に株価は上昇したが、その後じわりじわりと値下がりが続き、再びPBR0.5倍を切る水準にまで下落した(2月19日終値)。
■コニカミノルタの時価総額とPBR
出所:QUICKデータに基づき日本知財総合研究所作成
【赤字予想に下方修正】
株価の低迷の原因は明白で、業績の低迷だ。2021年3月期から、2023年3月期まで4期連続で営業損益、当期損益とも赤字を計上した。2024年3月期には黒転したものの、2025年3月期の予想では、2024年11月5日に発表された2025年3月期(2024年度)第2四半期決算において、営業損益予想が大幅に下方修正され、当初130億円の黒字予想から、140億円の赤字予想に変更された。
売上高もパッとしない。2025年3月期予想の売上高は1兆1340億円で、対前年同期比非継続事業を除くベースでわずか2%の伸びにとどまっている。
■コニカミノルタの業績推移
出所:コニカミノルタの決算短信に基づき日本知財総合研究所作成
【足を引っ張るヘルスケア、その他部門も低成長】
コニカミノルタの主要な事業セグメントは、今期に変更するまで、主に複合機及び関連消耗品を生産するデジタルワークプレイス、印刷市場向けデジタル印刷システム・関連消耗品を生産するプロフェッショナルプリント、 医療用画像診断システム及び遺伝子検査・創薬支援サービスを提供するヘルスケア、様々な産業向けにデバイスを提供するインダストリーの4事業だった。この中で、大きく足を引っ張ってきたのがヘルスケアである。
ヘルスケアは、成熟した事務機器、印刷事業に代わって成長が期待できる分野として注力してきた分野だ。ところが、新型コロナウィルス感染拡大などで2023年3月期には巨額の減損を強いられ、その後もセグメントとして赤字が続いていた。
この赤字解消のために、2024年11月5日、2017年に買収したアンブリー・ジェネティクス社の全株式を譲渡することにし、デジタルワークプレイスやプロフェッショナルプリントに経営資源を集中することにした。
しかし、デジタルワークプレイスやプロフェッショナルプリントは採算に改善の兆しがみられるものの、力強い増益トレンドにあるわけではない。結局、従来の主力事業に回帰するとは言っても利益成長は必ずしも容易ではないのだ。
■コニカミノルタのセグメント別営業利益推移
出所:コニカミノルタの決算短信に基づき日本知財総合研究所作成
【研究開発費をかけても特許につながらず】
その背景には、研究開発費を掛けても画期的な技術を開発できないことがある。コニカミノルタは会社全体での売上高R&D比率が10%を超えていることからも分かるように研究開発に積極的な企業であり、2024年3月期には651億円もの研究開発費を投じている。2021年3月期からの増収トレンドに合わせて研究開発費も増加してきており、各部門に割り当てた研究開発費額も相応に潤沢と言える。
■コニカミノルタのセグメント別研究開発費推移
出所:コニカミノルタの有価証券報告書に基づき日本知財総合研究所作成
ところがこの研究開発が特許出願につながっていない。特許出願件数は2016年をピークに減少を続けており、2021年はピークの2016年に比べて半減している。
このことは、主力事業において画期的な技術を開発できていないことを示す。そうなると、量を確保した低価格戦略によりシェアを増やす戦略しか取れない。実際、同じく事務機大手の富士フイルムビジネスイノベーション(BI)との業務提携に向けた協議を進めるなど、量の確保に向けた取り組みを強化しているが、業界ではOKI、リコー、東芝テックが合弁事業を行うなど同様の動きが活発化している。
■コニカミノルタの登録特許出願件数(国内)
出所:PatentSQUAREのデータに基づき日本知財総合研究所作成
残念ながら、収益改善のためにもがくコニカミノルタの戦略は後手に回っている印象をぬぐえない。業績の本格的な回復までにはもう少し時間がかかるだろう。
(2025年2月25日)
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