【NQNニューヨーク=戸部実華】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は19日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、貿易政策などの「経済見通しへの影響を巡る不確実性は高い」と述べた。「政策スタンスの調整を急ぐ必要はない」との従来の考えを強調した。
同会合では2会合連続で政策金利を据え置いた。パウエル議長は足元の経済が「おおむね強い」との認識を示した。労働市場も「堅調」との見方を示した。一方、「インフレ率はいくぶん高まったままだ」と述べた。米政権による政策変更の影響の見極めが必要ななか「我々は明確性を待つことができるより良い状況にある」と話し、利下げの判断を急がない姿勢を改めて示した。
新政権は貿易、移民、財政、規制の4つの分野で大幅な政策変更を実施するさなかで「経済と金融政策の道筋にとって重要なのは、これらの政策変更による実質的な影響」とも指摘した。関税引き上げによって、今年のインフレ鈍化の進展が「遅れる可能性がある」との見方も示した。
関税による物価の押し上げが一時的となる可能性も高い一方、そう判断するのは時期尚早との見方を示した。今後の情報を精査するうえで「シグナルとノイズを分けることに集中する」との従来の考えを繰り返した。
このところ短期を中心に予想インフレ率が高まりつつあることについては「消費者と企業は関税が押し上げ要因になっていると指摘する調査回答をみている」と話した。ただ、5年以上の長期の予想インフレ率をみるところでは「落ち着いている」との考えを示した。予想インフレ率の動向を「我々は非常に注意深くみている」と強調した。
今会合でFRBは保有資産を圧縮する量的引き締め(QT)を4月から減額する方針も決めた。米連邦政府の債務残高が法定上限に近づき、金融市場での混乱を避けることが、減額を検討するきっかけとなっていた。パウエル議長は委員が「停止ではなく減速を強く支持した」と明かした。減速の方針は「最終的なバランスシートの規模について何か示唆するものでは全くない」とも強調した。
市場では米景気後退入りの確率が高まりつつあることへの懸念もくすぶっている。パウエル議長は極めて低い水準からは上昇したものの「高くはない」と話した。