【QUICK Money World 辰巳 華世】自動車株は、時価総額が大きく株式市場で注目されています。日本国内の自動車産業は再編の動きが出ており先行きが気になるところです。今回はそんな自動車株について紹介します。
自動車株とは
自動車株とは、自動車メーカーや関連企業の株式のことを指します。国内銘柄では、トヨタ自動車(7203)や本田技研工業(ホンダ、7267)、米国株では、ゼネラル・モーターズ(GM)やフォードなどがあります。
自動車産業は、部品メーカーなど関連企業が多くすそ野が広いです。また、自動車を輸出するなどグローバルで事業を展開しており、市場規模が大きい特徴があります。最近ではハイブリッド(HV)自動車や電気自動車(EV)など新しい仕組みの自動車が登場し、新たな市場ができつつあります。
自動車産業は、グローバルに事業を展開しているので為替や世界経済の影響を受けやすいです。日本の自動車メーカーは輸出比率が高いため、円安が進むと海外での販売価格が相対的に下がり、利益が増えやすく株価が上昇傾向になります。逆に円高になると、輸出企業にとっては不利に働き、業績に悪影響を及ぼすことがあります。景気が良ければ、自動車販売台数も増加し業績も好調となる傾向がありますが、景気が後退すると消費者の購買意欲が低下するので販売台数が落ち込み業績が悪化する傾向があります。
株式投資における自動車株の魅力の一つは、自動車株は、時価総額が大きい特徴があり安定的な売買ができることです。例えばトヨタは時価総額が日本企業の中で最も大きく、世界的なブランド力を持っています。また、自動車は世界中で必要とされる製品であり、特に新興国では成長市場として安定的な需要がある点も魅力です。安定した業績を背景に、配当利回りなども比較的高めな水準にあり長期投資の対象としても魅力があります。
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自動車株が注目される理由
自動車株は時価総額が大きく、市場規模も大きいこともあり注目されています。世界景気や為替の影響を活用した投資戦略が考えやすい点も、自動車株の魅力と言えます。特に日本の自動車メーカーは円安の恩恵を受けやすいため、為替動向を見ながら投資をすることで利益を狙いやすい傾向があります。
もともと株式市場で注目される自動車株ですが、最近、日本の自動車業界の再編の動きが活発化している点も見逃せません。ホンダや日産自動車(7201)などの企業が競争力を強化するための戦略を模索しています。提携協議は一度決裂したものの、今後の市場環境次第では新たな再編の可能性もあり、投資家にとっても注視すべき動向となりそうです。
2025年10月にはモビリティー関連の製品やサービスを展示する「ジャパンモビリティショー(JMS)」が開催されます。ジャパンモビリティーショーは、自動車業界だけでなく、モビリティ技術全体の未来を体験できる場へと進化しており注目度が高まっています。
EVや自動運転技術の進化、異業種とのコラボ、体験型コンテンツの充実などが話題となり、世界的にも注目されるイベントです。
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自動車の関連銘柄とは?
ここでは、自動車の主要銘柄と部品メーカーなど関連銘柄を紹介します。
自動車銘柄
銘柄名 |
コード |
内容 |
トヨタ自動車 |
7203
|
時価総額トップ、海外展開加速、環境技術も優位
|
ホンダ |
7267
|
二輪車は世界首位、海外生産で先行
|
日産自動車 |
7201
|
仏ルノー、三菱自と提携関係
|
スズキ |
7269
|
軽自動車に強み。インドに強い
|
マツダ |
7261
|
北米で大型SUV積極展開
|
SUBARU |
7270
|
水平対向エンジンと四輪駆動技術が特徴
|
三菱自動車 |
7211
|
日産が筆頭株主
|
日野自動車 |
7205
|
国内普通トラック大手
|
いすゞ自動車 |
7202
|
小型トラックに強み
|
自動車関連銘柄
銘柄名 |
コード |
内容 |
デンソー |
6902
|
自動車部品首位
|
ブリヂストン |
5108
|
タイヤ国内首位
|
住友電気工業 |
5802
|
電力ケーブルや自動車用組み電線に強み
|
アイシン |
7259
|
トヨタ系部品大手
|
日本特殊陶業 |
5334
|
点火プラグ世界トップ
|
横浜ゴム |
5101
|
タイヤ大手
|
小糸製作所 |
7276
|
自動車照明器トップ
|
住友ゴム工業 |
5110
|
タイヤ大手
|
スタンレー電気 |
6923
|
自動車・二輪車照明大手
|
TOYO TIRE |
5105
|
タイヤ大手
|
自動車株の今後の見通し
ここでは自動車株の今後の見通しについて紹介します。
直近の2024年4月〜12月期の自動車株の決算では、中国市場での苦戦や北米での競争激化などで苦戦する自動車株が目立ちました。ホンダの24年4〜12月期連結決算(国際会計基準)は純利益が前年同期比7%減の8052億円、日産の同期間の純利益は前年同期比98.4%減の51億4800万円でした。 マツダも同期間の純利益が前年同期比45%減の905億円でした。
一方、トヨタの同期間は純利益が4%増の4兆1003億円と過去最高でした。25年3月期の連結純利益見通し(国際会計基準)は前期比9%減の4兆5200億円の見通し。従来予想(同28%減の3兆5700億円)から上方修正しました。ハイブリッド車(HEV)の9カ月累計の販売台数は約320万台と前年同期比で24%増加しました。
24年は全体的に自動車業界にとって中国市場の苦戦や欧州でのEV支援策が相次いで打ち切られるなど、EVにシフトを進めていた自動車メーカーにとっては厳しい環境でした。この先についても、自動車業界はトランプ大統領の関税政策などで不透明感が増しています。
トランプ米政権は追加関税策を示唆していましたが、日本を含むすべての国からの米国への自動車輸入に対して課す25%の追加関税が4月2日に発表され、即時に発効しました。米国販売比率が高い自動車メーカーにとっては影響が避けられません。また、トランプ政権の関税政策への報復措置を検討する国も相次いており、貿易戦争の激化が予想され世界経済全体を縮小させる懸念が高まっています。
為替相場の動向も不透明です。トランプ大統領は、関税を引き上げる理由を説明する際に、中国とともに日本が通貨安を誘導してきたと問題視する発言をしています。トランプ大統領の円安けん制発言を受けて、為替相場では円が急騰する場面がありました。円高は自動車株にとっては株安に繋がります。トランプ大統領は不規則な発言を繰り返しており、今後の発言次第で為替相場が影響を受けることもありそうです。
まとめ
自動車産業は、グローバルでビジネスを展開し市場規模が大きい特徴があります。自動車株の時価総額も大きく、株式市場では大きな注目を集めます。日本国内では、自動車業界の再編の動きが活発化しており注目を集めています。日本の自動車メーカーは北米に多くの自動車を輸出しており、トランプ政権の関税政策に大きな影響を受けそうです。自動車産業の今後の動きに注目しましょう。
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