仮想通貨取引所大手のコインチェック(東京・渋谷)は26日、約580億円分の仮想通貨「NEM(ネム)」が外部からの不正アクセスで流出したと発表した。2014年にビットコイン取引所の「マウントゴックス」から流出した額(約470億円)を大きく超え、過去最大の仮想通貨流出事件となる。コインチェックの概要や被害内容、補償対応についてポイントをまとめた。
【コインチェックとは】
・仮想通貨の国内大手取引所の一つ
・エンジニア出身の和田晃一良氏が創業 2012年8月に会社設立
・金融庁への仮想通貨交換業者登録申請中の「みなし業者」
・Bitcoin(ビットコイン)以外の仮想通貨「アルトコイン」を積極的に取り扱い
→仮想通貨13種類の売買が可能(業界大手bitFlyerは6種類)
・タレント(出川哲朗氏)を起用した積極的な広告宣伝
→昨年12月13日からCM放送開始
・口座数などは非公表
・預かり資産は数千億円規模のもよう
【ハッキング事件時系列】
1月26日 (金)
02:57:不正送金の事象発生
11:25:コインチェックが異常を検知
12:07:入金制限
12:38:NEMの売買停止
12:52:NEMの出金停止
16:33:全通貨の出金停止
17:23:BTC以外(オルトコイン)の売買停止
18:50:クレジットカード、ペイジー、コンビニ入金による入金停止
23:30:和田晃一良社長が記者会見で経緯説明
1月27日(土)
17:00:Coincheck paymentの一部機能停止
1月28日(日)
0:46:不正送金されたNEMの補償を発表
【ハッキング被害内容】
☆仮想通貨NEM
総額:5億2300万XEM
→預かりほぼ全額の約580億円分
保有者数:約26万人
価格:不正送金発覚後に急落
☆原因:外部からの不正アクセス(ハッキング)
技術的な難しさと人材不足から対応できずと説明
・ネットワーク
→常時接続している「ホットウォレット」での管理
→ネットと隔離した「コールドウォレット」での管理ならば不正アクセスを防げた可能性
・秘密鍵(暗証コード)
→そのままでは外部のハッキングで破られる恐れ
→「マルチシグ」で秘密鍵を複数に分割して別々に管理すべきだったが行わず
→NEM財団のマルチシグ対応をすべきだとの通知を無視
【補償対応】
補償方法:NEMの保有者全員に、日本円でコインチェックウォレットに返金
補償金額:88.549円×保有数(=約460億円)
返金原資:自己資金より実施
補償時期:現在検討中
☆決済サービス「Coincheck payment」
入出金停止
→他社との連携サービスも停止
【過去の不正流出事件】
・マウントゴックス・・・約470億円分の仮想通貨ビットコインが流出(2014年:日本)
・ナイスハッシュ・・・約70億円(2017年:スロベニア)
・ビットフィネックス・・・約65億円(2016年:香港)
・ダオ・・・約65億円(2016年:独)
・パリティーウォレット・・・約30億円(2017年:英)
・ユービット・・・約18億円(2017年:韓国)
・ビットスタンプ・・・約5億円(2017年:スロベニア)
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