米連邦準備理事会(FRB)のパウエル新議長は27日、就任後初の議会証言に臨んだ。議長は米経済情勢について「年3回の利上げシナリオを提示した昨年12月に比べ、景気見通しは強まっている」と指摘。物価見通しに関しても「(2%の)目標に向かって上昇すると確信を深めている」と強調した。議長証言を受けて、金融・資本市場ではFRBが利上げペースを加速するのではないか、との見方も浮上した。
▼米長期金利、一時2.92%まで再浮上
議会証言を受け、27日の米10年物国債利回りは一時、2.92%まで上昇した。パウエル議長の証言内容が想定より「タカ派」と受け止められ、改めて年内に4回の利上げが意識された。
▼米株、引けにかけ急落
米株式市場では、ダウ工業株30種平均が引けにかけて下げ幅を拡大。S&P500採用銘柄はほぼ全面安となった。
▼年4回利上げ確率が上昇
フェデラルファンド(FF)金利先物の動きから、市場の利上げ予想を占う米CMEのFEDウォッチツールによると、パウエル議長の議会証言を受け、FRBが2018年に4回利上げする確率は33.5%と、前日の24.4%から上昇した。
▼「物価指標、目標まで回復する確信」が最重要発言~JPモルガン
JPモルガンはパウエル議長の証言内容について、27日付のレポートで「最も特筆すべき点は2018年の利上げ回数が年3回で適切かどうかという質問に対するパウエル議長の回答だ」と指摘した。その議長発言とは「17年12月と比べて、物価関連の指標はインフレ率がFRBの目標(2%)まで回復するという確信を高めている」とした部分。
▼年4回利上げを示唆~BMOキャピタル・マーケッツ
BMOキャピタル・マーケッツは27日付のレポートで、「パウエル議長が質疑応答で、最近の経済指標で物価がFRBの目標まで上昇するという確信が高まったと発言したことが目立った」と指摘した。「グローバルで景気は強含み、財政政策は景気を押し上げるとの見方も示した」こともポイントという。そのうえで「当社はパウエル議長の議会証言は、経済が想定通りに成長すれば、年4回利上げを示唆する内容」と分析した。
※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。