米連邦準備理事会(FRB)は21日、同日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.50~1.75%と0.25%引き上げることを決めた。パウエルFRB議長下の新体制で初のFOMCとあって注目されたが、結果はタカ派・ハト派どちらにも判断が難しいものだった。
2018年のドットプロットでFF金利見通しの中央値は2.125%で前回から横ばいだったが、2.00~2.50%のゾーンに12名のメンバーが集中してドットチャートの形状は昨年12月から様変わりした。ナットウエストは21日付のリポートで「2018年の利上げ見通しは6名の参加者が3回が好ましいとした一方、6名の参加者は4回が好ましいとしており、中央値は昨年12月(3回)から予想通り横ばいとなったが接戦だった」と指摘している。前回のドットで2.00%以下を見込んでいたのが6名に対し、今回は2名のみだった。ハト派のブラード氏、カシュカリ氏らが1.50~1.75%で年1回の利上げしか見込んでいない一方、他の4名は2.00~2.25%のゾーンに見方を変え、2.25~2.50%の6名のうち2名が2.25~2.50%のゾーンに移ったとみるのが妥当だろう。
今年のFOMCで投票権を持つメンバーには、クリーブランド連銀のメスター総裁、リッチモンド連銀のバーキン総裁、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁と3名のタカ派の連銀総裁が加わっている。彼らは2.25~2.50%のゾーンで4回の利上げを主張しているとみられ、パウエル議長としてはFOMC内のタカ派に配慮しなければならないとみられる。
FOMC後の米市場は株安・ドル安・債券高となったが、意外に利上げペースが早いことが再認識されれば米株高・ドル高の展開となる可能性も否定出来ない。
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