米国経済はインフレを起こすほど過熱せず、緩やかな成長を維持する「適温経済」の真っただ中にいるようだ。融資の基準を厳しくした米銀の割合をみると、足元の融資姿勢は緩和的だ。米連邦準備理事会(FRB)が9年半ぶりに利上げを実施した2015年12月直後に、米国の銀行は商業用不動産融資に対する基準を急速に厳格化したが、こうした動きは一巡している。
FRBが利上げを続けるなかでも貸し渋りという印象は乏しい。大・中規模企業向け融資にいたっては基準を厳格化した銀行の割合はマイナス圏にあり、むしろ緩和度合いが強まっている。
「投機的等級格付け企業の場合、商工業ローンの融資姿勢が引き締め方向になると、1年後に企業のデフォルト率が上昇する傾向が強い」(クレジット・アナリスト)というのがプロの常識らしい。しかし、米中貿易摩擦の先行きなどを憂え、クレジット・リスクにおびえるという必要はまだないだろう。(丹下智博)
※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。